丸山の好きな人は、 ページ12
次の日丸山に『きのう何してたの？』って聞いたけど
『部屋にいましたよ』としか聞き出せなくて
けっきょくあの声の正体は分からずじまい。
…私が大人になれば
わかるようになるのかな。
あっでも私が大人になってるころは丸山のいう『せかいいちのおじょうさま』になってないといけないんだ。でないとおこられるんだ。
うわーやだなーーー。
「…ってやだ！こんな時間！」
かべのかけ時計が2時半前をさしている。
3時からバレエのおけいこだ。もちろんおどる方である。
いそがなきゃ！
私はろうかをかけだした。
今から部屋にもどって、バレエのしたくをして、ああいそがし…
「わっ」
「きゃあっ」
前を見てなかったせいでちょうどろうかの角で咲子さんとぶつかった。
て、あら、咲子さん。
尻もちつかせちゃってごめんなさい。
書るいの整理かなんかパパにおおせつかったらしく、まわりにばさばさーっとたくさんの紙が。
「すっ、すみません！！繭華様！！」
すぐに書るいを集めだす咲子さん。
なるほど丸山といっしょにいたらこうも動きが早くなるのか。
っと、あれ？
向こうに落ちてるケイタイ…
尻もちをついた時にポケットから出てきちゃったのか。
私はちょっと歩いてケイタイを取りに行く。
そして持った時ちょうどLINEが入ったらしくメッセージが
(…え)
まさか、まさかそんなこと
じゃあ、咲子さんは
「繭華様？」
「あっごめんなさい！咲子さんスマホ持ってたんだって思って！」
はい、と手わたす。
「ありがとうございます
使用人はみんな持ってますよ
もちろんご主人様や繭華様の前では使いませんが…」
「そうよね、
まあ中身は見てないから安心なさいな」
…咲子さんと分かれた私は、9才の小さな体にかかえるにはあまりに大きなひみつにとまどっていた。
丸山に言おう。
丸山にとってはつらい内容だけど
私一人じゃどうしていいか分からない。
それに、丸山はいずれ知ることだ。
今知ってしまった方がいいに決まってる。
咲子さんは…
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作者名：よつげ | 作成日時：2019年2月27日 16時
