病める時も健やかなる時も(橙) (ページ11)

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トビラの向こうページ11

「…あれ、カギかかってる」

丸山はいつもおうちゃくなもんだから、カギなんてかけないのに。
わざわざかけるってことは…中にいるかな。

ノックしようと思った、が、いや待て
丸山相手に、おじょうさまでしかも9才の私がなんで…したて？しもて？に出ないといけないのよ。←

呼ぼうといきをすったところで、ギシッ…という物音が中から聞こえた。

丸山気づいた！？来る！？

しかしそれは全然ちがった。
中からしたのは

「…あ、まるやまさ」
「隆平って呼んで言うたやん」
「りゅうへい、さん」

この声
咲子さん？と、丸山…

何やってんだろ、すごくあせった声してるけど

「あっ、それっ…」
「なーに？…ふーん、ここがええんやぁ」
「あぁっ」
「は…ぁ、やば…」

トビラの向こうからはそんな声と、ときどきさっきのギシッという物音。

え、何やってるんだろう…
何なんだろう…
大人ってわかんないや。
(※繭華様は9歳です)

まあとりあえず丸山は咲子さんとすごしたかったのだと思い、私はその場を立ち去る。

問題にふたたび向き合ったもののわかるわけもなく、そのままベッドにつっぷした。

さっきの丸山の声を思い出す。

あんなイヤミ丸山でも、あんな声出すんだなーと、ユメウツツに思いながら目をとじた。