2-2 昔よりも距離が縮まった日 ページ5
「見学したいです!あともし働く場合なんですけど副業とか...条件は先に確認したいかもです。」
「やった〜!いつ見学来る?条件ね、了解。うちの社長に伝えておくよ。」
今日この後に見学でも構わないらしいが、私用があり後日見学させていただく事にした。
そして福良先輩はオフィスに戻るらしく昼食後早々解散となった。
「Aちゃんこの後仕事なんだね。」
「そうなんですよ〜まぁ今日はそんな時間長く無いので気持ち的には楽ですが。」
「へ〜因みに何してるの?」
「あっ...えーと...ライブハウス関係で〜」
「へーじゃあ音響とか強い感じ?」
「まぁ程々ですかね。」
一瞬ひやっとしたが嘘は付いてない。
そう、ライブハウス関係..."者"である事は事実。嘘偽りは無い。
「今日はありがとう!じゃあ来週の見学の件また連絡するね。」
「こちらこそ今日はありがとうございました!しかもご馳走にまでなってしまって...連絡の件、了解です!」
話しながら歩いていたらいつの間にか駅前まで戻ってきていた。
お互い異なる電車に乗る為、ここで解散となる。
「あ!」
「え!?」
鞄からICカードを出そうとしていると福良先輩が突然大きな声を上げた。
「びっくりしたぁ〜。福良先輩どうしたんです?」
「驚かせちゃった?ごめんごめん。その"福良先輩"っての辞めない?もうお互い学生じゃないわけだし。」
「あーーでもついクセなんですよねぇ。なんて呼べばいいです?」
問うと少し考えたのち、悪戯な笑みを浮かべはじめた福良先輩。
「、、、拳くんとか?」
「、、、先輩、冗談とか言うんですね。」
「あははっ!ごめんごめん、つい。福良さんでも拳さんでもなんでも。まぁAちゃんには折角だし、下の名前で呼んで貰えたら嬉しい...かな。」
冗談を言いながら笑ってる先輩を見ると学生時代よりもなんだか仲良くなれるような気がした。
その意味も込めて...
「じゃあまぁ...折角?ですし、拳さんってこれからは呼びますね。」
「え、本当!?嬉しいな〜〜。あ、やばそろそろ戻らないと...じゃあ今度こそ、またねAちゃん!」
「はい、じゃあまた!」
手を振りながら急いで改札を抜ける福良先輩こと、拳さんを見送る。
「よし、今日も夜から頑張るぞ!」
なんだか今後楽しくなる予感がするのと同時に、私の秘密がバレぬよう改めて気をつけようと決心する瞬間であった。
あ、一応マネージャーには伝えないと...
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作者名:るん子 | 作成日時:2020年7月25日 14時