検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:65,585 hit

20. 午前4時過ぎの千円札 ページ29

 

背中の痛みと普段の目覚めとは異なる景色や感触に、忘年会から寝落ちてオフィスに泊まってしまった事を自覚する。
辺りを見渡すと、意外とオフィスの床で眠っている奴らが多く...伊沢、川上、吉田くんに...それからソファを陣取っているのは恐らく須貝さん。
流石に山盛、志賀くん、林、こうちゃん、乾等は帰宅したようで居る気配が無い。
そこそこの人口密度で寝落ちしてる者が多数居るにも関わらず、室内は空き缶や空き瓶が見当たらない。
よく見れば、テーブルに広がっていた紙皿や割り箸も撤去され元通りの綺麗なテーブルへと姿を戻していた。

時間を確認しようと、眼鏡を探しポケットに入れたままのスマホをタップする。


「あ、Aちゃん...流石に帰ったか。」

時間を確認しようとした矢先、ポップアップには後輩であるAちゃんからのメッセージが来ているようであった。
彼女は相変わらず丁寧な事に、先に帰宅して申し訳ないと一文。そして年末に向けた挨拶らしき一言が添えてあった。
彼女からのメッセージに既読をつけようか迷っていた矢先、別室から音がして扉が開かれる。
現れたのは河村だった。

「福良起きた?」
「うん、ついさっき。河村も寝落ち?」
「あーうん。まぁ...俺、コンビニ行ってくるけど福良なにか必要?」
「んーー、、インスタントの味噌汁買ってきて。野菜入ってないやつね。あさりとか」
「へいへい。あ、そうだ。因みにだけどさ...」


コートを着てマフラーを巻き、財布をポケットに仕舞う河村に目線を合わせる。

「因みに?」
「片付けたのほぼ、Aさんだよ。」
「え、、マジで?」
「片付けして終電で帰ったよ、彼女。」
「1人で帰ったの?」
「いや、駅まで俺が送ったけど...流石にこんな年末とはいえ終電間際の時間帯に女の子1人は危ないでしょ。」
「ありがとう河村。」
「お礼はハーゲンダッツでいいよ。」
「俺の財布渡せばいいの?」


冗談のつもりが河村から右手を差し出された為、近くに置いてあった鞄から千円札を1枚抜いて渡す。


「お、マジで出てきたやん。」
「冗談だったのなら返して?」
「コレハ、ボクのモノ、ダヨ。」
「片言すぎない?」

俺の千円を満足げに握りしめ、チラッと腕時計で時間を確認した河村は、急ぎ足気味にオフィスを出て玄関へと向かった。

「そっか、あの時間帯か。」

河村が帰ってきたら起こして貰おう。そう考えた俺は一言河村へメッセージを送り、撮影部屋のソファに眠りへ向かうのであった。

20.5 気合いを入れる10分間→←19. 偉大な貴公子様



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
397人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , QK
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るん子 | 作成日時:2020年7月25日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。