17. 不運な神様が観たモノとは ページ26
多分...否、確実に、またも俺は見てはいけないものを見てしまったらしい。
神よ、一体俺は何かしてしまったのでしょうか...まぁ神は信じていないが
「俺を頼ってよ、A。」
酒が回りながらも確実に、意識的に福良はAさんに対して言葉にした。
福良は "独占欲" という感情を自覚をしてしまったんだと俺は見解している。
そしてそんな福良相手に、驚きから眼を見開きまさに硬直状態となっているAさん。まぁ無理もない、普段の彼女に対する福良の態度からは今のような姿は微塵も感じられない。彼女の知る "拳先輩" とはかけ離れているであろう。
しかし意外なことに、彼女は驚いてはいるが照れている様子ではない。
福良の彼女を見る眼と彼女が福良を見る眼は異なるもののように思える。
俺はヒトの感情、特に異性間の感情に関して情報に富んでいるわけではないし経験値が高いわけでもない。そんな俺でも解るほど...Aさんと福良の温度感は違うように見えるのだ。
「福良さーん！！って、あれ？どうしたんですか？」
タイミングが悪いのか良いのか、伊沢が福良を呼ぶ。その呼ぶ声と同時に停まっていた2人の空間が時間を取り戻す。
そう、彼女は何事も無かったかのように
「何でもないですよー！ね、、拳さん。」
「、え？アッ、、うん。何でもないよ〜それより伊沢なにー？」
笑って誤魔化す彼等。そのまま福良は伊沢の方へ向かい出す。
「河村さん、、見てたら留めてくださいよ。」
「、、、、分かってたんですね。」
「そりゃ。というかこういう席で申し訳ないんですけど、お話があります。」
「、、、、、僕もあるので丁度良いです。あっちで呑み直しましょうか。」
「、、ぜひ。」
いつも愛想良い笑みを浮かべる彼女とは想像付かないほど、"普通な彼女"に、俺は初めてAAという存在に関心を持った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 397人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るん子 | 作成日時：2020年7月25日 14時
