13. 気温に勝る事案について ページ20
「こんな寒い中、何で俺が買い出しに出ないといけないんだ...」
12月も残り僅かとなった今日、撮影に急遽必要となった材料を買いに俺は渋谷まで来ていた。
オフィスに手袋を忘れてしまった為、両手はポケットから絶対に出さないと勝手に誓い、クリスマス間際のセンター街を足早に歩く。
「そもそも、買い出しジャンケンで負ける俺の運の悪さだよ...ありえん。」
寒さから思わず独り言を発しながら歩いているが、今のところ誰かに変な目で見られたりはしていない。
とはいえ、ほぼ地面ばかり見て歩いていたので方向確認の為ここで頭を上げ周囲を見渡す。
「あと少し。絶対オフィス戻ったらスープとか奢らせてやる...」
目的地まであと少し。
マフラーに顔を埋め更に小走りで目的地まで急ぐ。
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無事、福良伊沢から指示された撮影小物を買い終え建物を出る。
買い物前よりも更に気温が下がったように感じ、思わず店内に戻りたくなるがいつまでも店にいる訳にはいかない。マフラーを巻き直して気合いを入れた。
駅まで早足なら最短でおおよそ10分。土地柄通行人が多いのは仕方ない、時間は少しかかってしまうが裏通りを歩こうか...
「裏から行こう。」
なんだかそんな気分になった。
裏通りを選択したが変わらず足早に地面ばかり見ながら歩く俺。
そんな中、先程までは聞こえてこなかった女性の声にふと脚を留める。
「ん...?どこかで聞いた事があるような...」
13-2 藍色の暖かさ→←12.(ss) 優越感に浸りたかった(fkr)
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作者名:るん子 | 作成日時:2020年7月25日 14時