12.(ss) 優越感に浸りたかった(fkr) ページ19
AAちゃん。
青学出身で、ダンスサークルとお笑いサークル所属。
音楽関係が強くてライブハウスの運営として働いているらしい。
しっかり手入れされたセミロングの髪に、笑みは絶やさない彼女。どんなに忙しくてもピリついた空気感でも笑顔で、誰とでも仲良くなれるタイプ。
「なんだ...俺も伊沢と同じくらいしか知らないじゃん。」
自身のことはあまり話さないとはいえ、彼女の事を全然知らない事に気付いてしまった途端、俺は落ち込んでしまう。
みんなよりかは学生時代含め、知っていると思っていたがそれはただの思い違いだったようだ。
YTFFも無事に終わり、年末に向け急ピッチで業務をこなすがクリスマスくらいは楽しもう!という伊沢発案のクリスマス呑み会。
この時期多忙である、こうちゃんや山本、川上からも参加予定の返答があり他ライターたち含めかなり大人数での呑み会予定である。
出来ていなかった歓迎会兼交流会も行えば一石二鳥だよね!とルンルンと計画を立てていた伊沢は、Aちゃんの不参加に意気消沈状態であった。
そして、伊沢の中でAちゃんに感じるらしい壁。
確かに学生時代に比べれば彼女もいい大人だ。社会人同士の距離感になるだろう。しかし伊沢はそれだけでは無いように感じているらしい。
言われてみれば、誰とでも程よい距離感を保ち、当たり障りもないように過ごす彼女。
水上の幼なじみであるゆきちゃんは入社当初からオタク全開だった故、とても分かりやすかったのだが、Aちゃんはその反面分かりにくい。
何が好きか、何が趣味か、数少ない休日はどう過ごしてるのか。
想像以上に秘密主義で、これっぽっちもわからないのだ。
「青学...他に誰か連絡取れる知り合い居たっけな〜」
この時の俺は、俺たちと関わりある"先輩YouTuber"と彼女が接点を持つ事に全く持って気付けなかった。
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作者名:るん子 | 作成日時:2020年7月25日 14時