紅鮭【QK】 (ページ7)

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今日は悪くない日であった。
指名客の来店率も高く、延長のオンパレード。
ボトルも沢山開いて良い感じに酒も回っている。

こういった日は別に送迎を頼んでも良いのだが、なんとなく

ほんの少しだけ、

期待をして歩いて帰る。
彼とまた遭遇するのではないかと期待を込めて。

まぁ現実はそうも上手くいかないらしい。

いつものコンビニに彼の姿は無く、いつもよりゆっくり商品棚を眺めても彼が、現れることは無かった。

「仕事中なんだし、これまでの遭遇がむしろ奇跡だよね」

今日は割と運が付いてる日なのだけども...

いい加減諦めて会計を済ませよう。
今日は珍しく割と早い時刻から大学なのだ、こんなところで長居している場合ではない。

ついには顔馴染みとなってしまった店員さんに会釈してコンビニを出る。
足元に広がる桜の花びらからなる絨毯。
そんな足元から、ふと見上げる。
コンビニの駐車場内にある桜の木は殆ど咲いていなかった。

「今年も花見が出来なかったなぁ...」

もう4月も終わりに近い。GW直前。
稼ぎ時と同時に課題提出の時期でもある。

「がんばろ...」
小声で自分に言い聞かせてる。

時刻は明朝4時40分。
そそくさと帰る私。通行人は誰も居ない。
道路には私だけ。

いつも通りなのに

ほんの少しだけ、つまらなく感じた。