#10 ページ22
コンビニで出会って顔見知りになったカワムラさん。
居酒屋帰りに遭遇し久々に顔を合わせた山本さん。
そして山本さんと同僚の渡辺さん。
彼らは全員同じ職場らしく、クイ ズノックと言っていた。
先日ついには私の店にも現れたカワムラさん。
彼が来店した時、心臓が止まるほど驚いた。
そしてその夜、彼は本当にコンビニで待っていたのだ。
本当に律儀な人で、彼は何故こんなにも良くしてくれるのだろうか。
生憎、人からの好意に気付けない程鈍感な女ではない。
だが彼からはその要素を含む視線というか雰囲気は感じ取れない。
物珍しさ？興味？
一体なぜなのだろうか。
「あった、Q uizKnock。」
スマホで検索するとトップにヒットするウェブサイトをタップし適当に閲覧していく。
「へぇ、堅苦しい題材ばかりじゃないんだ。」
わたしの想像していたものとは異なり、日常での些細な疑問やネットでの流行や時事ネタなど様々な記事があるようで
クイズとも絡めてありとても読みやすい。
「というか、東大ってあの東京大学？まじか...」
カワムラさんのカワはさんずいが付く方なのね、なるほど。
そして在学中の大学名にも驚かされる。
あ、渡辺さんも東大なんだ...
「なんか...東大だからってわけじゃないけど違う世界の人みたい。」
そして別のリンクからyo utubeへ飛ぶ
高頻度で更新されているらしく、軽くスクロールしサムネイルに河村さんが見えたものをタップする。
そこにはわたしの知らない河村さんが居た。
同時に更に世界が違う人だと感じることとなる。
しばらく動画を眺めていると、今後彼に会うことは遭遇含め控えるべきだと悟る。
万が一、彼が私と共に居るところを見られてはどう考えたって損をするのは河村さん。
河村さんにはファンがいる。
悲しませてはならない。
「丁度良いや、コンビニも変えて帰る時間も変更しよう。」
そろそろあのコンビニにも飽きてきた頃であった。丁度良い。
私も万が一、お客さんに見られたら商売上がったりだ。
存在しない心にポッカリと穴が開いたように感じるが見て見ぬフリをする。
毎朝のほんの少しの楽しみが無くなるだけ。
それだけだ。
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作者名：るん子 | 作成日時：2020年4月2日 3時
