紅鮭【QK】 (ページ11)

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「あ！Aさんもしかしてこの辺りに住んでるの？もしそうなら今度久々にご飯行こうよ！
僕、オフィスこの辺りで普段から居るんだよ。」
「そうなのですね。この辺りに住んでますよ、是非。」

他人と食事を摂ることが苦手なわけではないので、実際食事に行く事になるかは別として
お誘いにはYes.の返答をする。

まぁ世の中、社交辞令っていうものもありますから。

「山本さん！そろそろ戻りますよー？」
「うん！あ、そうだ。折角だし僕の同僚も紹介するね、こうちゃんー！」

こうちゃんと呼ばれた男性が山本さんに手招きされ、こちらへやってきた。
山本さんとはまたタイプの異なる愛嬌がある男性に感じる。

「こうちゃん、こちら大学が同じのAAさん。前に同じ講義を取っていて、こうちゃんと同い年の同級生だよ。」
「そうなんですね！初めまして、山本さんとは同じ職場でバイトしてます渡辺航平っていいます！よろしくね。」
「あ、初めまして。山本さんの紹介通りなのですが、山本さんの後輩のAAです。
よろしくお願いします。」

なるほど航平で、こうちゃんか。
人の良さそうな渡辺さんと挨拶を終えると握手をする。

握手なんて何年振り？
少し驚いてしまう。

「握手驚きました？すいません！って、山本さん！戻らないと！」
「あ、そうだった！まずい！それじゃあAさん、今度連絡するね。連絡先変更してないよね？」
「変わってないですよ。忙しいのに立ち話長々とすいません。ではまた。」

お辞儀をして終わりを作る。
お辞儀をしてしまえばどんなに話し足りなくても終えられる。私としてはそう考えているからだ。

「うん、また！あ、僕 Q uizKnockっていうwebメディアで記事書いてるんだ！
You tubeもあるし良かったら見てね。」

最後駆け足で山本さんが発すると、渡辺さんと共に駆け出していった。
オフィスは私の自宅とは反対方向であった。

「You tube？クイズ...なんだっけ。」

思い出したら調べてみよう。
その程度にしか今は思えなかった。