鮭大根のような君

心配無用 ページ19

「冨岡さん？

　何しているのでしょうか、
　まさかAさんの後を付けて来たんですか？」


　私は彼の肩に手を置いた。
　恐らく私の一番、怒っている顔で。


　まぁ、笑顔なのは変わっていないけど。



義「人聞きの悪いことを言うな。


　 俺は唯、Aが大丈夫か確認してただけだ。」



　言い訳下手すぎますね…。


　心配なのは分かるけど。

　ずっと此方を見ていたので
　注意しに来たのだ。


　怖いですよね、普通。
　屋敷の中を体育座りしながら見ているのだから。


　彼女が気付かないで良かったけど。


胡「心配なら普通に
　 声を掛ければ良いじゃないですか。


　 それにAさんは不死川さんと昨日、
　 一緒にお萩を食べたと言ってらっしゃったので

　 いつも通り大丈夫ですよ。 」



　冨岡さんは私に背中を向けた。
　そうか、と言いながら。


義「俺はAが傷付くところは
　 好んで見たくない。

　
　 何事も無かったかのように
　 改めてこれからも接してあげてほしい。」



　貴方は何処から目線ですか…。

　その言葉は私の心に閉まっといた。


　優しさが分かったから。
　冨岡さんにとって


　Aさんの存在の大切さが尚、分かったから。



　あの髪飾りを見て察しない人は居ない。


　
胡「安心してください。」


　私はそう微笑んだとき、

　冨岡さんは一瞬だけ瞳を見開き

　ありがとう。

　その一言を残して去っていった。

　

　そろそろ行きますか。

　アオイとAさんのところに。
　あの生姜の佃煮が無くなってしまう。


　いや、その他のお料理も！






胡「アオイ！
　 まだ残っているかしら？」


　私は息を切らしながらそう聞いた。


善「柱が息を切らしている…。

　 どんだけ必死に来たのよ？
　 そして任務完了するの早っ。 」


　少し我妻くんにはムカついたが
　今回は良いか。


　アオイが私の問いに頷いたのだから。



『蟲柱様！
　まだまだ沢山ありますよ。』


　私は再び
　美味しい料理に目を輝かせた。

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