鮭大根のような君

始まりは ページ2

　
『ここが藤襲山かぁ、
　中々、藤の花が綺麗だな。』



　咲く季節ではないのに見事な花を咲かせている。





　「頑張ろな、義勇！」


　宍色の髪の子が黒髪の子にそう言った。
　
　私と同じくらいの子だ。
　仲が良さそうだな。



　二人とも家族を亡くしたのだろうか。

　私のように大切な人を失ったのだろうか。

　


　家が代々鬼殺隊で入隊する者もいると聞いたが
　おそらく大体が悲しい思いをしたんだろう。


　そう思うと悔しくてたまらなかった。



　家は両親が鬼殺隊で強かった。
　

　ある日鬼が家を襲った。
　首を斬ったが二人とも力尽き
　亡くなってしまった。
　

　最後まで私を守りながら。



　父さんが残した日記には
　水の呼吸について書かれていた。


　自分も強なって仇を取りたい。

　そんな気持ちで鍛錬に励み
　やっと使えるようになった。


　

　父さんと母さんの優しさ、
　強さを引き継ぎたい。
　
　
　私のせいで死んだんだ。
　せめて仇だけは取りたい。




　「では、いってらっしゃいませ。」

　
　こうして最終選別が始まった。



　私はどんどん鬼を切っていった。
　数えきれないほどに。



　下手に疲れても駄目だし
　少し休むか、と思うと



　さっきの黒髪の子が鬼に襲われていた。



　「『水の呼吸 壱ノ型 水面斬り 』」
　


　あの宍色の子と私の技が
　合わさり、より強い技となり首を斬った。



　「あっ、強力な鬼だったから
　 俺一人じゃ、義勇は守れなかったと思う。
　 ありがとうな、名前は何て言うんだ？ 」



　彼も偶々の奇遇に驚いたようだ。



　『私は富黄桜 A。
　 Aで良いよ。
　 貴方は何ていうの？』



錆「俺は錆兎だ。
　 よろしくなA。
　 そして、俺の親友の義勇だ。」


義「二人とも助けてくれてありがとう。」



　『当たり前よ、お互い頑張ろうね。』


錆「嗚呼、絶対に生きよう。」


　そう約束して私達は別れた。



　約束もしてしまったんだ
　死ぬわけにはいかない。


　ようやく選別が終わり
　二人を探すと義勇がいた。


　『義勇！
　 良かった、無事で。
　 ところで錆兎は？ 』


　そう聞くと泣いてしまった。
　滝のような涙を流して。


　義勇が着物を見せた。
　確かこれは錆兎のだ。


　聞いてはいけないことを聞いてしまった。



　私は義勇を抱きしめた。



　ごめんなさい、私が助けていれば…

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