シャングリラに綴る戯曲【掃き溜めの星】

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遂に口には出さなかったが、斎槻は苦笑いしながら、宛ら愛しい誰かにありのままの感情を伝えるかの様に言葉を紡いだ。

「君の見た世界を、知りたい」

　凪いだ海に浮かぶ金色の太陽を閉じ込めた穏やかな瞳に、男は「俺が知り得る事なら、喜んで」と朗らかに答えた。
　斎槻は今自分が知りたいと思う質問を無作為に上げていった。あの後どうなった? 僕が居たあの場所やあの人達は? 新しく出来たものはあるのか? ──どれも彼らしくなく、平凡で極々有り触れた質問ばかり。それだけ月日が経ち過ぎたと言えばそうかもしれない。それでも男は変に笑う事無く、一つ一つの質問に丁寧に回答した。
　彼等は大人達に勝利したのか? いや、してないよ。……そうか。残念ながら、部外者である俺はどうこう口出しする事は出来ないし、実際そこに居た訳では無いけど、あれは明らかに彼等の負けだ。率直に意見を言う所は君らしいな。事実を言っているだけだよ。……そうか。彼等は取り返しの付かない過ちを犯した只の罪人、それを理解すべきだよ。……そう言うものか。生きて、この地獄に居れば良いだけの話だよ? …………。まぁ、どっかの誰かさんは早々に離脱したみたいけどね。あーあー、それ以上は聞きたくないなぁ。
　レブルはどうなった? ラビッシュと共に解散したけど、最近になって新しい組織を立ち上げたみたい。ほう、それは面白い。政府公認の異能力社団法人だって、凄いよね。胡散臭い限りだがな。でも真面目にやってるみたい、実はその写真を撮ったのも社団法人の社員さんなんだよ。……何でも屋かなんかか?
　なら、レブルの皆は? んー、誰から聞きたい? じゃあ、首領さん。あー、ミルクさんだっけ? そうだよ。なら、彼は異能力社団法人の社員さんやってるみたいだよ。そうなのか? うん、なんか黒いツンツン頭の青年とよく見掛けるね。……黒瀬剣士か。そうだと思う、君から聞く話と若干イメージが違う気がするけど、外見的な特徴はほぼ一致するから間違いないかな。……体の良い依存先が見つかってよかったよ。他には? そうだな……浅葱は? えっと、医療部隊の人だっけ、彼は結婚したらしいよ。……そうなのか。はは、凄い驚いてる。相手が居た事に驚いたな。結構可愛い系のお嫁さんだよ、あの二人には福嗣がお世話になってるからよく話すんだ。たまげたなぁ。まぁ、僕はみのりさんが一番だけど。はいはい、次は右京さん。あぁ、彼女か……。どうした? 彼女はね…………。

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