├ ＊ ページ18
「卯ノ花みのり。同居人って言ってるけど、俺の婚約者だよ」
「へぇー、随分綺麗な人を貰ったもんだね」
「君が言ったんだろ。添い遂げるなら彼女が良いって」
「そうだっけ?」
「彼女はもっとお転婆な女性だと思ってたよ」と冗談めかして言うが、男は一切否定せず「元気で素敵な女性だよ」と朗らかに笑う。男の首にはチェーンで繋がれたら生涯共にあり続けると誓った証であるシンプルなシルバーリングが、僅かに入り込んだ日光に反射してキラリと光る。それを無意識に触って嬉しそうに頰を緩めるので、余程惚れ込んでるんだなと容易に察する事が出来た。序でに惚気られているぽいのは、最愛持ちならではの行動だと思う。
事実、彼女は少々強引でアクティブな人物だ。我儘では無いが、やる事なす事妙に男前じみていて、言い換えれば気持ちが良い程に豪快な人と言った所か。しかし、その中に清らかな水の様な清廉さと純粋さを持っている事を男はよく知っていた。穏やかでとても暖かく、それでいて簡単には折れない芯の強さを持っている。大和撫子と言うには程遠いが、強かさと忍耐力なら誰にも負けないだろう。だからこそ、今も尚彼女に恋焦がれて止まないのだ。当然、目の前の彼に教えてやるつもりは無い──否、もう知っているかもしれないが。
隠し切れてない幸せそうな雰囲気を漂わせる男を尻目に、今度はみのりに頭を撫でられ嬉しそうに笑顔を浮かべる少年に目を向ける。真っ先に目に入ったのは赤い髪。炎の様に燃え上がる赤とは違う。どちらかと言えば昼と夜の間、地平線へと沈む太陽が染め上げる静寂の紅だ。
「隣の彼は?」
「紅藤福嗣、今年で八才かな。ちょっと訳アリな子」
「訳アリ?」
写真に写るのはとても訳がありそうには見えない、至って普通の子供だ。理由を聞かれるは想定済みらしく、疑問を口にする前に男は「これ以上は個人情報なんで」と言って人差し指を口元に持っていき、悪戯っ子みたいに笑う。如何にも無害そうな外見をしていると言うのに、先程とは打って変わって狡猾で聡明だった。やはり食えない。
「でも、君も知ってるでしょ? こうなったのも君が原因だし」
「多分、“まだ”知らないんだよ」
「……あ、そうか。そっか〜、ヘェ〜」
「……その鼻、削ぎ落としても良いんだよ?」
「出来ないでしょ」
「出来ないなぁ」
残念そうな素振りをする斎槻だが、傍から男を攻撃しようとは思っていなかったのだろう。
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十二月三十一日(プロフ) - ドットコムさん» 二人がどの様な話をしているかはご想像にお任せします。いつか右京さんが少しでも救われる日が来る事を願っております。此方こそ有難う御座いました。 (2020年6月12日 1時) (
レス) id: b1d15496af (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - ドットコムさん» お久しぶりです。本作をご覧頂きまして有難う御座います。あれから二年、斎槻も居なくなって二年、結構な月日が経ちましたね。今回も懲りずに名前をお借り致しました。話題にあげたかったのですが、どうするか悩んで結局曖昧な感じにしてしまいました。 (2020年6月12日 1時) (レス) id: b1d15496af (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 松宮カナメさん» 同年で且つ組織内最年長だったのもあってあげさせて頂きました。何とか浅葱さんの結婚について突っ込ませたかったので、懲りずに名前をお借りしました。此方こそ、有難う御座いました。 (2020年6月12日 1時) (レス) id: b1d15496af (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 松宮カナメさん» お久しぶりです。本作をご覧頂きまして有難う御座います。あれから二年も経つのですね。書いている最中も干渉に浸っておりました。名前の順については一応レブル縛り、リロードにいる事を前提にあげてますが、何となくミルクさんの次は浅葱さん辺りだろうなと。 (2020年6月12日 0時) (レス) id: b1d15496af (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - お久しぶりです。淋の親です。更新内容拝見しました。うるうるきてます。いつもありがとうございます。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 3561a5869c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十二月三十一日 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年7月12日 2時
