肆拾参話 ページ28
ーA視点ー
答えはただ一つ。
『私は行きます。もうあの時のような腰抜けじゃありません。』
伊黒「…お前ならそう言うと思っていた。」
師範は立ち上がり、机に置いてあるものを取った。
伊黒「これを身につけて行け。」
『!!これは…!』
渡されたのは暗い赤色の首巻に
『………母さんの…羽織…』
牢屋に置いて来たと思ったのに…
伊黒「お前がいた牢屋の中にあったものだ。綺麗なまま保管されてあったからAの大事なものかと思い、持って来た。」
『…』
伊黒「首巻はお前が寒がりだからだ。最終選別は藤襲山という所で行われる。そこで七日間生き残り、戻れば合格だ。………俺の継子だから死ぬ事はないだろうが…」
私は羽織から師範に眼を移した。
伊黒「必ず、帰って来い。俺は待っている。」
『…!!!…はい!必ず帰ります!』
そして三日後、私は藤襲山に向かう準備をし、師範に見送られ最終選別へと臨んだ。
ー
ーー
ーーー
最終選別は傷一つなくこなし、妖の呼吸も上手く使えた。
七日後、私の他に三人の少年と一人の少女が生き残っていた。
そして刀の為の玉鋼を選び、下山し、私は師範の屋敷に向かい歩き出した。
屋敷が見えて来て、私は歩く速度を早めた。
そして門の前に着いたと思ったら門がいきなり開き、誰かが私に飛びついた。
18人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:靉 | 作成日時:2020年10月25日 10時