弐拾捌話 ページ13
ーA視点ー
あれから、母さんと兄さんは毎日来てくれた。
母さんからは食べ物をもらい、兄さんからは色々な事を教えてもらった。
私もあの時と比べて、かなり上手く話せるようになった。
私が七歳になったばかりのある日
『母さん、兄さん…!』
椿「…」
ギュッ
『?』
母さんに手を握られた。
『かあ…さん?』
椿「っ… ?夜宵…!こんな、こんな母親でごめんなさいね…!きっと助けてあげるから…いつか、絶対に龍之介と、三人で暮らしましょうね…!」
母さんは私の手を握って泣き出した。
『母さん…?どうしたの…?』
龍之介「…きっと、疲れているんだ。大丈夫、気にしないでくれ。」
『…うん…』
そしていつも通り、兄さんから色んな事を教えてもらったが、母さんはずっと悲しそうな顔をして無理に笑っていた。
その事が気になりすぎて、私は兄さんが教えてくれた事が頭に入って来なかった。
ー
ーー
ーーー
一週間経った時、その日は兄さんだけしか来なかった。
『…母さんは?』
龍之介「あ、ああ…仕事が忙しいんだ。この時期は人が多いからなぁ…しばらくは俺だけだけど…いいか?」
『うん…母さん、いつか来るよね?』
龍之介「………仕事が治ればな。さぁ、昨日の続きを教えてあげよう。」
その時、気づけばよかったと思う。
その胸騒ぎに。
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作者名:靉 | 作成日時:2020年10月25日 10時