Sakata 『Love Trap!』 ページ13
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「…朝まで、このままみたいや。」
「マジか。」
時間は午後10時を過ぎようとしていたところである。
会社の倉庫に2人、同期であるAと閉じ込められてしまったみたいや。
ドアを叩いても外に誰もいないのか鍵は開けてもらえない。
「坂田ー、こっちに震災用の毛布見つけたー」
「お、ナイス!って!そうやないわ!!」
「え、出れなさそうならどうやって夜を過ごすかにしないと。」
「…えぇ。」
この同僚、男と2人きりっていうこと、何とも思わへんのやろか。
っていうか俺が男として見られとらんとか!?
「あー…寝れるとこ…あれ?どしたの坂田。」
「あのさぁ…俺のこと男やと思ってへんの?」
「え?」
「はぁ……」
なんていうか、
悲しくなってきていく、えぇ…俺も一応男なんやけど。
っていうか、片想い相手に見られてないってさぁ…悲しくならへん?
「おーい、坂田ー?」
「Aのあほー!」
「え、いきなりそれ?なんで!?」
「アホったらアホやぁぁぁ!」
八つ当たりごとく、彼女に向かって水をぶん投げる。
これも意識されてなかったら俺はもう色々終わり……
「え、水…ってこれあいてるじゃん…?」
「何?意識してくれるん?」
「う、うるさいな…」
「へぇ、可愛いとこあるやーん!」
若干赤くなっている彼女にとてもいい気分である。
さて、にしてもこれからココでどう夜をすごそか…探るか。
「ま、とりあえず寝れるような場所作るか。その毛布使ってえぇのん?」
「いいんじゃない?」
「んじゃ、2つくらい床に引いてその上にねればえぇな。」
「そうだねー」
「寒いし、こっち来る?」
「な、何言ってんの……!」
「いたっ!!」
照れ隠しのように水を投げ返される。
あれ、なんやこの学生みたいなやりとり……高校生みたいやな。
俺らもうすぐ30になるはずやけど。
「にしても…少し寒いね。」
「あーほら、外雨降っとるしめっちゃ涼しいからやない?」
「そうだけど……」
「…ほら、これ着たら。」
「あ、ありがと。」
彼女にそっと、自分が着ていたカーディガンを渡せばそれを羽織って表情を緩める彼女。
可愛いなぁ、袖がいわゆる萌え袖になっている。
「ねぇ、坂田。」
「なんや?」
「さっきさ、坂田のこと男として見てる?って言ってたじゃん。」
「せやな。」
「逆にさ、私のこと女として見てるの?」
…まさかの、事態である。
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切り株(プロフ) - すみません!好評価しようとしたら間違えて低評価押しちゃいました!すみません。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月14日 21時) (レス) id: b071ec8f6b (このIDを非表示/違反報告)
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