Monster (ページ4)

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財閥の娘と聞けば誰もが羨ましがるだろう

広すぎるほどの豪邸

全てこなしてくれる家政婦達

有り余るほどの財力

だがAにとってそれは重要ではなかった

A『逃げたい...』

そう、Aはこの誰もが羨む環境から逃げ出したくて仕方なかった。

父「A、今日は会合がある。お前も参加だ。」

原因はこれだ

A『図書館に行くつもりだったのですが...』

Aはかなりの本好きであった

本の中に広がる世界に浸って毎日現実逃避をしていた

そしていつか自分も本を書きたいという大きな夢も持っていた

父「それは父親の言うことよりも重要なのか。いつでも行けるそのような用事をとり、この家がかかっている大事な会合を捨てると言うのか。」

決してそれは怒鳴るような声ではないが、それよりも心を壊す冷酷な声だった

A『いいえ、申し訳ありませんでした。お父様」

Aは声が震えた
父親は自分のことなど見ていない

家がかかっていると口では言うが、自分のどうでもいいプライドと建前しか見えていないのだろう

Aはそんな父親が嫌いで仕方なかった

母「分かったみたいだしやめましょう、お父様。」

そして言いなりになってしまっている母親も

父「ならいい、それとそろそろと思ってな。お前の婚約者を決めるためにお見合いを組んでおいた。それも用意しておけよ。」

A『....！？お父様それはどういうことですか？私は自分の婚約者でさえ自分で決めることもできないのですか？」

母「いいタイミングじゃないかしら？あなたももう立派な女性なのですから。」

母親は笑顔でそう言う。

父「ということだからこのことは頭に入れておくように。」

A『いやあの...！！』

そういうと両親はそそくさと部屋の外に出て行ってしまった。

A『だめだ....もう生きていたくない。』

今までどんなに縛られても、自由を奪われてもいつか未来があると我慢をしてきた。

自分の本を書き多くの人に認めてもらい、自分を持って生きていく

そして愛する人と静かに楽しく温かい家庭を築いていく

そのはずだったのに苦楽を共にしていく大切な婚約者でさえ両親に選ばれてしまうのならば一生自分は苦しむことになる。

きっとこのまま自分を潰して生きていく運命なのだ

A『誰も気づかない場所があればいいのに..』

どうか誰かここから逃してくれないだろうか

でなければもう生きていくことさえ諦めてしまう...