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case2.RYUJI.I ページ4

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こんなところでどうしたの?




彼の第一声はそれだった。




「今市君こそ、どうしたの?」


「え、俺は友達に付き合わされて...」


「そう、あ、もう私行くね」



足早に立ち去ろうとすると、腕を今市くんに掴まれて思わず後ろに倒れそうになる。




まさかこんなところで今市隆二に会うとは思いもしなかった。それこそ、彼と大学の校内で話を交わしたことなど数える程しかなかった。




だというのに、彼はなぜか私にここまで干渉してきたのだ。




「こういう仕事、良くないよ」


「...ほっといてくれる?」


「でも、」



私の家は決して裕福な方ではなかった。
幼い頃に父親は見知らぬ女と夜逃げし、母に女手一つで育ててもらったのだ。



パートで働く母の給与では私の大学費用が払えるはずもなく、母にはサービス業だと偽って水商売でその費用を賄っていた。




それなのに、何も知らないくせに。
分かったような口で当たり前のように言う今市くんに腹が立ってしょうがなかった。




「ごめん、私ほんとに時間ないから」


「待って、なら俺も行く」


「行くって」


「五十嵐さんの働いてるとこ。
お店の名前教えて、今連れの便所待ちだから後から行くよ」




なんで?どうして、私にここまで構うのか。
不思議でしょうがない。




多分この人は私が言わないとその手を離してくれないのだろう。
仕方なくバッグに入っている仕事用の名刺を差し出すと、あっさりと手を離してくれた。





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作者名:めいこ | 作成日時:2018年12月14日 22時

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