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汚い格好でごめんなさい。そう言った彼女は、上下赤のジャージに首にタオルをかけていた。



そんな彼女を見て、見窄らしいだとか汚いだとか一切思ったりはしなかった。




「ここの掃除をしてるの?」


「はい。前は祖父がここの管理をしていたんですけど、今はもう他界してしまって。
ここ小さい頃から私の逃げ場所で、嫌なことがあるといつもここに来てたんです。だから、私が祖父の跡を継ぎたいなって思って...ってごめんなさい。初対面の人にこんなべらべら喋ってしまって」


「いや、いいよ。もっと聞かせてほしい」




俺がそう言うと驚きと嬉しさが混じった様な表情をした後、俺を本殿の縁側へと招いてくれた。

縁側には深々と生い茂った木々の微かな木漏れ日だけが照らしていた。



昨日の雨で地面は濡れていた。なのに、ジメジメとした空気は一切なくて、パリッとした空気が広がっている。




俺達は縁側に並んで座ると、時間を忘れる程に色々な話を交わした。




その子の名前はAと言って、歳は俺の一つ下だった。東京から来たというと、Aはひどく驚いていたようだった。




そして俺が歌を生業にしていて、今日は映画の撮影できたんだよと説明すると、さっきよりももっと驚いていた。




こんな反応は新鮮で、こんな女性と会ったのはきっと初めてだった。




自分の周りにいないタイプだったからだろうか、彼女の話をまだ聞いていたいそんなことばかり思っていた。




「Aは、ずっとここに居んの?」


「ええ、毎日家とここの往復ですから。身内と近所の人意外とお話するのなんて久しぶりでした。...ところでお時間大丈夫ですか?撮影中ですよね」


「...うわ!やべ!」




彼女にそう言われ、スマホを見ると言われていた時間を30分も過ぎていた。
つい楽しくてすっかり話し込んでしまっていたようだった。




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作者名:めいこ | 作成日時:2018年12月14日 22時

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