70 ページ20
いたたまれなくなったのか、食べ終わった相葉さんが口を挟んだ。
「そうやって言ってもらえんのはうれしいけど、俺そこまで有名じゃないよ？それに…絶賛スランプ中だし」
そう言って、力なく笑う。
「夏の間こっちにいるって決めたのも、何も書けなくなってどうしようもなくなったからだし…そんな翔さんが思ってくれてるほどじゃない。今だってほら…松本くんに迷惑かけてるから」
「そんなことないですよ。それに、メールではちょっとアイディアが見えたって言ってたじゃないですか。環境を変えたことでまた違ったいいものができますって」
「だといいけど…ね」
松本くんの言葉に相葉さんが俯いた。
ふと、オレは今日の予定を思い出す。
松本くんが来たってことは仕事した方がいいんじゃないだろうか。
「ねえ、相葉さん…オレ遠慮しようか？」
「へ？なんで？」
オレの言葉に相葉さんが驚いたようにこっちを見る。
そして松本くんを見ると、ニッコリ笑った。
「大丈夫、ちょっと話せばいいだけだし…ね？」
「まあ、そうですけど…」
「ニノが片付け終わる頃には終わってるから。申し訳ないけど、店の隅っこだけ貸してくれる？」
「それはいいけど…」
「あ、じゃあうちも」
ついでとばかりに声を上げた翔さんにも頷く。
お盆を下げてお茶のお代わりだけ出すと、それぞれ店の中で打ち合わせが始まる。
その奇妙な光景を見ながら、オレはいつものように食器を片付けた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 679人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LILY(プロフ) - 卯奈さん» 卯奈さん、こんにちは！わぁ！！終わってしばらく経つお話に遊びに来てくださって、そしてコメントまでで…正直、とーってもうれしいです(≧∀≦)ありがとうございました♪また別のお話でもお会いできますように！ (2017年12月3日 3時) (
レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
卯奈(プロフ) - 面白かったです！素敵なお話しををどうもありがとうございました。（≧∇≦） (2017年12月2日 21時) (レス) id: 6ffb874e93 (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - taekoさん» taekoさん、ありがとうございます♪９月に入って、学生さんの自殺が増えるというニュースが報じられてますが…逃げてもいい、そこで大事なものが見つかるかもしれない…学生さんに限らずそんな気持ちになってもらえたらいいな。美味しさ伝わってうれしいです(≧∀≦) (2017年9月2日 2時) (レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - iceさん» iceさん、ありがとうございます！そんな風に言っていただけてとってもうれしい(≧∀≦)イメログで描かれた和定食を目にしたとき、あぁ、これ！こういうの！と思わず口に出していました。文字だけでも、思い描いたお店や和朝食があの絵のように伝わってるといいなぁ…♪ (2017年9月2日 2時) (レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
taeko(プロフ) - 完結お疲れさまでした。逃げる、ってことは決してネガティブなことではないと思うお話でした。逃げた場所で大切なものを見つけたふたりがさらに幸せになれますように。にのちゃんちのおいしそうなごはんにいつもお腹を空かせていました。ありがとうございました！ (2017年9月1日 20時) (レス) id: 9c57f7e451 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LILY
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Colorfulstory/
作成日時：2017年8月17日 4時
