第２２８話 語り継がれる話 ページ35
あ「…そこにいるんだよね シルトって人」
「え…」
時雨「あぁ…さっきからいたさ
テートと聞いた瞬間、顔色が少し変わったからな」
シルト「…まいったな…彼女が…僕を…」
時雨「シルト ５０年前何があった」
シルト「…僕は船を動かした…
彼女もその船に乗って地上へと一緒に出てきた…」
――シルトさん、ここが地上…なんですね――
――あぁ、海がある…――
――聞いていいですか？ シルトさんはこれからどうするんですか？――
私はこの地上にしばらくいたら…あの地に戻ろうと思っています
――何故…？――
――私が今まで住んでいたゆかりの地です――
簡単に捨てることはできません…
「災厄」が終わるのは数年と聞きます
――…よし…僕はもう一度下に戻る――
――今行って危険です！――
――あなたが戻るというのならほかの人も時期を見て戻るはずです――
住んでいた地を簡単に捨てられるほど強い心を持った人はいませんから
またこんなことがあった時のために船を戻しに行くんです
――今じゃなくても…！――
――下に降りてそれから状況を見てきます――
それをまとめられたら今後の役に立つはずです
それでは…！
――シルトさん！――
シルト「それから、僕は船の中で息絶えた…
街の人々は皆短命であり、僕は３０年の時を過ごしていたんだ…」
時雨「…」
あ「ねぇシルトさん なんて？」
時雨「…テートを地上に置いて
船を戻すためと今後のためにとまとめた本…
これだな…これを書くために下へと戻った
これはあんたたちが持つべきものだ」
「これは…」
時雨「「災厄」の正体とシルトが経験したことが書かれてる
まっ少なくとももう「災厄」が起きることはないが…
彼とテートがあんたたち街の人のために頑張っていたことを
あんたたちは知っていてほしいし、これからにつなげてほしい
それが…シルトと…テートの願い…なんじゃないか？」
「…あぁぁ…テートさん…シルトさん…
これを…街の人に読んでもらってきます！
これからに二人が頑張っていてくれたことを
つなげたいとおもいます…！
シルトさん…？ そこにいるなら…
代わりに俺からですけど…
街とこの地のため…そして、俺たちのために
ありがとうございました！」
シルト「…うん…」
シルトの顔にはうっすら涙が見えた
彼は今、きっとテートのことを考えているだろう
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