雪男の紅一点は“呪術師”です！？【XVI】

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去年、私は “あの時” 以来、久々に病みかけてたと思う。

あの時。
5年前の、メンバー加入とそれに伴うアンチと、クラスでのいじめと、呪術師の存在する “意味” が分からなくなった、あの時。


がむしゃらに進んで、でもそれを嘲笑うかのように迫ってくる言葉たち。
右も左も、今進んでいる方向が前か後ろかも分からない、真っ暗闇の中を進んでいるような不安と孤独感。

5年前と去年、これらはとてつもなく似通っていた。


・・・・・でも、5年前と唯一違うことは、“親友” の存在だと思う。





『、紫音と愛蘭、喜んでくれるかな？』


藤「それは私には分からないわ。
でも、貴女なら分かるでしょう？それが全てだと思うわよ。」


『、うん。』





あの2人なら、きっと喜んでくれる。
自分の成し遂げた偉業を喜ぶかのように、飛んで跳ねて、これでもかっていうほど祝ってくれるはずだ。





『私、頑張ったよねぇ、。うん、頑張った。』


藤「そうよ、貴女は常人じゃ考えられないほど頑張ったのよ。
・・・・・だから泣きなさい。」


『、え？』


藤「我慢なんてしなくていい。そんなこと、覚えなくていい。
今、貴女が感じている喜び以外の感情は、涙と一緒にいっぱい流してあげて？」





どうせこのことが世に流れたら、泣く暇もないくらい祝福されるわよ。

私の目は、涙でいっぱいでぼやけて見えなかったけれど。そう言った藤乃さんはびっくりするほど優しい顔をしていた気がした。










藤「改めてまして。
桜、主演女優賞受賞おめでとう。」


『ｯうん！ありがとうっ、』

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