星が散った夜。 (ページ30)

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カストルページ30

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声が、出なかった。
何か言おうとして、口をはくはくさせて、でも喋れなかった。

星が、私をかばって、倒れている。

『やだっ、星！』

呪いはもういない。
星を切りつけて、それで力尽きて、祓われてしまったんだろう。

なぜ私は“いや”といったのか。
それはきっと本能的にわかってしまっているから。

“星はもう助からない”

そのことに、気がついてしまっているから。

『ごめんなさいっ、ごめんなっさい、っお願いだから、』

血が引いて、冷たくなっていくのがわかる。
人が死んでいくのを、私は隣で見ているんだ。

『いやっ！いかないで、、、1人にしないで、お願い、お願いっ！』

星「、ごめん」

ちがう、ちがうの。
そんな言葉聞きたくない。いつもの笑顔で、「行かないよ」って言ってほしいの。

星「、桜、お願いだから聞いて。」

『やだぁっ！星がいなくなっちゃうなら、私も死ぬ！』

星「桜、」

『死なないで、、、私を、置いてかないでよぉ、』

星「桜、僕からのさ、最後のわがまま聞いて？」

本当は、嫌だった。
最後のお願いだなんて聞きたくない。これが最後だと思いたくなかった。

『・・・・・何？』

星「“縛り”を結ぼうよ。」

黙っている私に、星は続けた。

星「僕の全部を、僕の体力も、寿命も、呪力も、術式も、全部桜にあげる。
僕が、、、死んだら、桜に宿って、一生一緒にいる。

だから、、、桜も僕のことを忘れないで。」

『それじゃ、、、縛りとして成り立たないよ、』

星「じゃあ、桜以外の人間は、、、“僕”という存在の記憶がなくなる。
それで、成立だ。」

嫌だった。
私以外の人の記憶から星がいなくなってしまうのは、嫌だった。
“満月星”という存在を、この世界から消したくなかった。

星「・・・・・お願い、、、もう、、時間がないから、、。
最後の、、わがまま、聞いてよ。」

『絶対に、守ってよ、？
“指切りげんまん、嘘ついたら”っ、“嘘ついたら星のこと忘れる、指切った！”』

これが今自分にできる精一杯の仕返しで、2人だけの契りだった。

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カストル → 双子座の2等星。ポルックスと双子である。