STEP38【美しき花は枯れた】 ページ30
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──望月が顔を出し、俺の姿を照らしながら遊び出す。
此処に味方など居ない。あの月すらも手を貸してくれぬその現実に俺の心が虚しさを覚えた。
悪役は全てのモノから嫌われる。それが生死を有した生物であっても、それが心を持たぬ無機物であっても──何者からも嫌われ、何者からも「幸せ」を望まれない。
──それが
だから…諦めろ、周りに助けを求めるなんて。そんなの今更の事だろう、俺は悪役なんだからそれが当たり前で過ごしてきたし、なんならそうなるように仕向けてきたのは自分だ。今更後悔なんてしても意味が無い。
俺は奥歯を噛み締めると、城壁周辺に群がる見張りの目を掻い潜り、リーアの部屋のベランダに飛び移った。
「！」
少しだけ、硝子扉が開いている。そこから中を覗くと豪華な部屋のベッドの上に誰か眠っている様子が伺える。紛れも無い、リーアだ。
静かにその扉を開け、俺は部屋の中に入る。
すると突然暖かな風が軽いカーテンを揺らした。月の光は俺を照らし、その部屋の床に俺の影を作り出す。
「…A、？」
リンッ──その瞬間、小鈴が転がった音ような声が聞こえた。懐かしい。心安らぐその声に柄にも無く、枯れた瞳から涙が流れそうになる。
「……はい、Aです。只今帰還しましたよ、姫さん」
いつも通りの笑みに穏やかなこの気持ちを乗せ、俺は彼女に近付く。彼女にだけ向ける俺の心の奥底から作り出された微笑み──嘘偽りの無い、役目を忘れた俺の。
「…ふふ、嬉しい！本当に会いに来てくれたなんて！ゾムの言う事は正しかったのね！やっぱり貴方は優しい人だわ！！」
「──ッ！？それ…っ！？」
「ん？どうしたの？……あぁ、これ？」
思わず言葉を失いそうになる。目の前のリーアの姿──否、あの頃の彼女の姿は何処にも無い、変わり果てた俺の主の今の姿に俺は目を見開く。
彼女の顔の半分はもう既に植物に侵食され、美しい翡翠の左の瞳があったその場所には薄紫や桃色の花々が咲いている。手首や足首、太腿は深緑色の草花のツルが巻き付き、それは、その姿はこの世のモノとは言えぬ異端な姿──リーアは俺の表情を目にすると、悲しげに笑って見せた。
「驚いちゃったわよね…ごめんなさい。貴方に心配かけたくなくて………ううん、貴方にこんな姿を見せたくなくて、の方が本音ね。だからずっと隠してたの」
リーアはヘラりと何事を無かったかのような、普段通りのあの明るい太陽のような笑みを浮かべると、俺の頬に手を伸ばした。
「──だって貴方の前では綺麗で居たいじゃない。私も女の子、なんですもの」
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
