STEP44【嘘吐き】＿No side ページ47
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「──昔々、ある所に嫌われ者の少年が居ました」
薄暗い牢屋の中で黒髪の青年は口を開いた。
「少年が街を歩けば、町人達はヒソヒソと噂をし、少年が声を掛ければ、自分の親を殺した人殺しだと石を投げるのでした」
青年は形の崩れた包帯を一度取ると、綺麗に巻き直し始めた。
「少年は自分が悪者だと知っていました。だからいつも独りぼっちでした」
「そんなある時、少年は一人の女の人に出会いました」
「女の人は教会で働く、皆から好かれる優しい人でした。しかし少年の心はその心優しい女の人に嫉妬していました。どうしてこの人はこんなにも愛されるんだろう、僕は何をしても嫌われる一方なのに。少年はそう思うようになりました」
「ある時、少年はその教会の女の人を殺してしまいました」
「町の人々はまた、少年を人殺しだと罵りました。否定しても否定しても、嘘吐きだと少年の言葉を信じてくれる人などいません」
「やっぱり自分を信じてくれる人なんて居ない。少年は自分が物語に出てくる『悪役』なのだと思うようになりました」
「それから少年は変わりました。誰かを信じる事をやめ、誰かに助けを求める事をやめ、誰かを自分の為に殺すようになりました」
「自分の為に本当に沢山の人を殺しました。男も女も子供も老人も、少年は無差別に手に掛けました。全ては自分の為に他人の死を利用したのです」
「そして国民から好かれる王様も殺しました。優秀な王子様も可愛らしいお姫様も自分の為に殺しました。しかし少年は何とも思いませんでした」
「だからなのでしょうか。ある時少年は牢屋の中に捕らえられました」
「きっと神様からの罰なんだ。少年は思いました」
「少年は国民の前で死刑になりました。『悪役』の名を着けられた少年は、いつまでも残酷で無慈悲な『悪役』のまま死んでしまいました。めでたしめでたし」
青年は包帯を巻き終えると、鉄格子を挟んだ先の天井を見た。
「──だから鬱、俺を助けに来たんだったら止めておけ。俺は人を殺し過ぎた。悪い事だって沢山してきたんだ。だからこのまま、この命で償うから、俺を死なせてくれ」
「──もう、楽になりたい」
青年は疲れたような笑みを浮かべた。
「……勝手にしろや」
「うん、ありがとう」
青年は天井に潜んでいた人の気配が消えたのを耳を済ませて確認すると、少し嬉しそうに口角を吊り上げた。
「──おい、時間だ。出ろ」
看守の声が鳴り響く。
「ハハッ、結局俺に最後の晩餐は無かったんだけど？人権問題じゃないかな？」
黒髪の青年は笑顔を作り変えた。
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あまやみ。(プロフ) - 星降春さん» ありがとうございます！さて第四部では作者は星降春様を感動させる事が出来るのか！笑お言葉嬉しいです！応援の元頑張ります！ (2021年3月7日 20時) (
レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
星降春(プロフ) - 第三部完おめでとうございます！もう、最高ですか！？第四部が楽しみすぎて夜も寝れません笑。確実に泣いちゃいますね、第四部。どうか，アンデット君が報われますように。 (2021年3月7日 18時) (レス) id: a283d6b201 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 奈飴亜さん» え、本当ですか！？ありがとうございます！！そう言って頂けて本当に心が嬉しくて叫んでます笑期待にお答え出来るよう頑張ります！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - 地稲さん» ありがとうございます！いやもう地稲様の貴重なお言葉を頂けるだけで本当に嬉しいです！！何より楽しんで頂けているとお聞きできて、あぁ、書いてて良かったなと思えました！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
あまやみ。(プロフ) - ハクグンさん» ありがとうございます！もう自分が作中で伝えたい事を読み取って下さってくれていて感激です！！気まぐれペースが続くと思いますが、どうぞお楽しみ下さい！！ (2021年3月7日 17時) (レス) id: 69b3072188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2021年2月20日 13時
