熱病のようにやってきた君 ページ6
僕はなぜか君のことが気になった。
夢に出てくる君に会いたくなって時々あの花屋へ行った。
彼女はAという名前のようだ。
夢の中では『薔薇がお好きなんですね』と僕に尋ねる。
そして僕は「はい」と答えた。
………夢を確かめるかのように僕はまた君に会いにいく。
『いらっしゃいませ』
「こんばんは」
僕は買う花なんて決まっているのに、わざと悩むフリをしてこの僅かな時間で君をもっと知ろうとする。
「今日もやっぱりバラがいいかな。赤いやつ。これください」
『ありがとうございます。…バラがお好きなんですね』
「はい」
『私も好きです、バラ』
夢で見たように、君が僕に尋ねてきた。
『気をつけてくださいね、トゲがありますから』
「はい、ありがとうございます」
君は微笑みながら僕に言った。
買ったバラを持って、店を出た。
夢に見たのはここまでだったけど、今日は何だかこのまま帰りたくなかったんだ。
君が、僕に声をかけてくれたから。
僕はもう一度、店に入った。
そして、勇気を出して一輪のバラを君に差し出す。
「僕、キムジョンウって言います。夜時間ありますか？」
いつの日も夕方に、会いましょう僕達。この夢の続きを
君と見たいんだ。
愛してはいけないと分かっているのに、君の記憶に残してはいけないのに、僕はどんどん君のことを知りたくなるんだ。
『Aです、時間あります…』
照れたように言う君に僕も何故か心臓が熱くなった。
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作者名：ELFchan107 | 作成日時：2022年2月12日 3時
