僕の全ての君へ ページ23
僕はいつになってもこの現実を受け入れられない。
いっそのこと、あの映画のように夢でした、なんてオチの方がマシかもしれない。
なのに君は、どうしてそんなに穏やかな表情をしているの？
どうせ手術もできないならわたしは家で最期を迎えたい、と
病院に通いながら家で過ごすことにしたA。
僕は毎日、Aの側にいた。
Aがしたい事を全部してあげたいのに、僕は人間じゃないからこんな時まで自由を与えてあげられないんだ。
「A、やっぱり……僕が…Aを…Aの血を…」
『もういいのジョンウ。大丈夫よ』
もういいのなんて。何でそんな……受け入れようとするんだよ
僕は君を抱きしめた
『ジョンウ、大丈夫…』
君が微笑んだ。
「君に残された時間がっ…こんなにも短いと分かっていたなら…もっと君とっ……一緒にいる時間を…」
『分かってる…』
「不幸の中であろうと…っ…君を僕のそばに置いておいたのにっ…！」
『ジョンウ…私ね、、あのときも 今も幸せだったよ』
やめてよ、そんな幸せだった、なんで言わないで。
これからも僕と幸せになるんだよ、一緒に
そんな僕の願いも虚しく
日に日に彼女の体調は悪くなっていった。
僕は君の見えるところに常に薔薇を飾った。
真っ赤な薔薇に、時々青いバラも。
『ジョンウ…先生を呼んで…ちょうだい…』
「Aっ……」
それは何を意味するのかが、僕にはわかる。
僕の愛するAの命の灯火が
消えようとしている。
少しして、先生が来た。
覚悟してください、なんて言われたけれど
そんな事……今まで一回もできた事がないのに出来るわけないじゃんか
最期は僕達2人だけの空間にしてもらった。
『ジョン…ウ…ッ…』
僕の胸の中に包まれているA
『ジョンウに出会えて……幸せだった……生きたいって…思った…』
一生懸命話すAに、僕は涙が止まらない
『愛を…教えてくれて…ありがとう…』
「嫌だ、嫌だ、お願いっ…行かないでっ…」
「大丈夫……私…たち……また…会えるよ…愛してる…』
僕は溢れ出す涙で視界が歪むも
君の頬を撫でて愛を伝えるんだ
「絶対に…っ！絶対にAの事っ…！また見つけ出すから…
待ってて…っ…A、本当に…っ…愛してる」
さようなら、僕の愛する人
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作者名：ELFchan107 | 作成日時：2022年2月12日 3時
