君を求めた対価 ページ15
それからしばらくして、僕はまた夢を見た。
僕たちが海を見に行こうと決めていた日に
雨が降らないという事実を
僕は夢を通して先に知ることになった。
あれだけ海を見に行くことを楽しみにしていた君に、
僕に黒くない海を見せてあげたいと嬉しそうに話していた君に
僕は何と伝えたらいいんだろうか。
どうして。どうして。
こんな運命、酷すぎるじゃん。
僕が、ヴァンパイアだから？
愛してはいけない人間を、愛してしまったから？
ただでさえ普通の人間同士のカップルのように昼間に外に出てデートする事も君に我慢させてしまっているのに。
こんなの、、、。
僕は、重い気持ちで君に電話をかけた。
「もしもし…？」
『ジョンウ〜？丁度いいとこ！明日の洋服どっちがいいかなぁ？』
ほら、君がそんな嬉しそうにしてるのに
「その…明日のことなんだけど…」
『ん？どうした？』
「明日、雨が降らないんだ……。」
『それは…つまり…』
「ごめん……雨が降らないと、僕は行けない」
僕達の間に、沈黙が流れる
「ほんとに…ごめん。Aが凄く楽しみにしてくれてたのに」
『ううん、いいの。仕方ないもん…ごめん。ちょっと切るね』
「まって…！」
切れてしまった通話。
あぁ、僕はまた君を傷つけてしまった
何度も繰り返し
'ごめん'という言葉を伝えようとしたのに、
君は電話に出なかった。
海を見て、君に渡そうとプレゼントまで用意したのに
……僕が君を愛する限り、僕は君を縛り付けて我慢させてしまう。「普通」をこの先も経験させてあげられないんだ。
なんで、夢になんて出てきたんだよ……
いてもたってもいられなくて、僕は家を飛び出してAの家に向かった。
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作者名：ELFchan107 | 作成日時：2022年2月12日 3時
