無タイトル ページ8
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渋谷さんがサッカー部。
まっっったく想像できひん。
「え、嘘ですよね？」
「いやだから嘘やないってば」
渋谷さんは可笑しそうに笑っている。
今まで私に向けられた中で
一番笑っている気がする。
なんだか新鮮だ。
「全然サッカーのイメージないですもん」
「そう？」
拳を口元に添えて
クスクス笑う渋谷さんは
どこか、かわいらしい。
職場の先輩に対して
”かわいらしい”は違うのかな。
でも、かわいらしいのだ。
「ずっとベンチやったけどな。ベンチからめっちゃ声出してた」
「想像できない…」
「せやろ？よく言われる」
そう言って、また少し笑って、
ギターを取り出した。
「ギターはいつから弾いてるんですか？」
「いつやろ。親父が好きで家にあったから気づいてたら触ってたな。あと高校の部活が軽音楽部やった」
「それもあんまり想像できないですね」
「しかもギターボーカルやで、余計に想像できひんやろ」
私は小さく頷く。
普段物静かな渋谷さんは
ライブの時はそうではないのだろうか。
たしかにこないだ聞いた歌は上手かったけれど
やっぱり想像ができない。
でも渋谷さんって
綺麗な顔をしているから
きっとモテたのだろう。
渋谷さんは、この間と同じ曲の
最初のアルペジオを弾き始めた。
やっぱり聞いたことのない曲だ。
歌い終わって、
渋谷さんがふぅっと息を吐いてから
私は口を開いた。
「これ何ていう曲ですか？」
「無タイトル。」
「無タイトル…」
「高校の時に作った曲やねん」
「え、渋谷さんがですか？！！」
「そう」
衝撃…
え、だってめちゃめちゃいい曲やで？
「…渋谷さんって天才なんですか？」
「は？」
「すごいです！！こんないい曲作れるなんて！！！」
食い気味にそう言うと
渋谷さんは少し引いていたけど
ありがとう、と小さく笑った。
「バンドでやる時はもっとジャカジャカ弾いてたんやけど、ここでは苦情に繋がってもアレやから」
「そうですよね…え、でも見てみたいですね。バンドしてる渋谷さん」
「せやなぁ…」
渋谷さんは空を仰ぐ。
澄んだ青空と、冬の匂いがした。
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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました！！いかがでしたでしょうか！次回作もぜひ(^^)！ (2019年12月13日 18時) (
レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか！？ (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ！続き楽しみに待ってます！ (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年10月13日 19時
