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サッカー部 ページ7

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「多分、あの子が浮気相手やと思います。」




今日は手元にギターはないから
ただ、ふたり並んで座っているだけ。


川の流れる静かな音に
どこかの家の夕飯の香りが乗ってくる。




「…もう浮気相手じゃないか」




自分で言って、自分で落ち込む。


渋谷さんは何も言ってくれない。





「渋谷さん聞いてます?」


「聞いてる。」


「じゃあなんとか言ってくださいよ」




完全に八つ当たりだ。




「なんて言うてええかわからへん」


「まぁそうですよね」


「ん…まぁでも、彼氏さん、男前やったな」


「そこですか?」




たしかに男前やったけども。


今そこ?って、少し笑ってしまう。





「やっぱり仲良くやってるんですね。」


「そりゃ瀬戸さんと別れたんやもん」


「…めっちゃハッキリ言う」


「ごめん」


「でも、そのくらいハッキリ言ってもらえると、逆にスッキリします」




冷たい風が私たちの間を通り抜ける。


「さむ…」と、
渋谷さんは小さく呟いた。




「帰りましょっか」


「…ええんか?」


「風邪引いちゃいますよ。渋谷さんも私も」


「2人して会社休んだら変な噂立つんちゃう」


「冗談言わないでくださいよ」




立ち上がって服についた芝を払う。


それにしても今日は寒い日だ。








__




_









秋の土手って気持ちがいい。


ここ数日でそのことに気づいた私は
次の日も土手にやってきた。


家にいても色々考えちゃうだけやし
なら外に出て新鮮な空気を吸った方がいい。


今日は比較的暖かくて
野球少年たちは汗びっしょりかいて走り回っている。


芝生の上に大きく寝転がると
青い空に秋の雲が浮かんでいた。


冬に向けて澄んでいく秋の空が好きだ。





「瀬戸さん?」





そんな私を呼ぶ声がしたと同時に、
私の視界に渋谷さんが入り込んできた。




「わっ!びっくりした!」


「どうも」




少し間をあけて座る渋谷さんは
今日はギターを持っている。




「毎日来てるんですか?」


「さすがに毎日はおらへんけど。週に2.3回ってとこかな」


「野球好きなんですか?」


「え?…あぁ、いや、別に」




渋谷さんは野球少年たちに視線を向けた。


点が入ったようで
嬉しそうな声がここまで届いてくる。




「俺、学生時代サッカー部やってんで」


「え、嘘だ」


「嘘ちゃうって、なんで(笑)」





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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました!!いかがでしたでしょうか!次回作もぜひ(^^)! (2019年12月13日 18時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか!? (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ!続き楽しみに待ってます! (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるまる | 作成日時:2019年10月13日 19時

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