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ギター ページ14

.




ちょ、



ちょちょちょ





ちょっと待って?





目の前には渋谷さんの背中。


後ろには土手。





ちょっと待って…


私ほんまに、渋谷さんち行くん…?





お茶だけなら、とか言ってみたけど、
よく考えたら…と今更ながら思う。


いいの?


行っていいの?


渋谷さんちでお茶を頂くの?


ほんまに?




心の中でそんな自問自答を繰り返していると
渋谷さんは急に立ち止まった。




「ここ。」




そこは土手から10分ほど
歩いたところにあるマンション。


恐らく、渋谷さんの家。


その1階の部屋の鍵をあけて
渋谷さんは部屋へ入っていく。




「お邪魔します…」


「どうぞ。なんもあらへんけど、適当に座って」




適当にって…一番困るヤツ。


ちらっと覗き込むと、
必要最低限のものだけが揃ったシンプルな部屋だった。


余計なごちゃごちゃはない。


渋谷さんらしいような、らしくないような。




「あれ、ギターは?」


「あぁ、こっち」




やかんを火にかけた渋谷さんは
リビングの奥にあるドアをあけた。




「わ…!」




その部屋に広がっていたのはたくさんの楽器。


ギターはもちろん、


キーボードやタンバリンやハーモニカ、


難しそうな機械もたくさん置いてある。




「ほんまに好きなんですね」


「学生時代からちょいちょい集めてたらこんなになってん」


「すご…」


「ギター触ってみる?」


「へ?!いいですいいです…!!」




ギターなんて触ったことないし…!


おまけに渋谷さんのなんて恐れ多い。




「そんな怖いもんちゃうから」




私の言葉なんて聞こえていないように
渋谷さんは一番手前のギターを私に差し出した。


多分、土手で弾いてるものだ。


その時お湯の沸く音が聞こえ、
渋谷さんは私にギターを持たせ
キッチンへ行ってしまった。


取り残される私とギター。




…えぇ…どうすりゃええねんこれ…


緊張する。




初めてのギターにもだし、


それが渋谷さんのものってことも、


触ってる場所が渋谷さんの部屋ってことも。




試しに弦を上から下へ撫でてみた。ら、




「わっ…!」




音が鳴った。


…まぁ当たり前やねんけど。


でも少し嬉しくて、もう一度。


左手の押さえ方なんて
全くわからないから、


じゃらーんって鳴らすだけ。


でも、ワクワクする。




「ええやん」


「あ、ありがとうございます…!」




お茶を手にした渋谷さんが戻ってきた。





.

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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました!!いかがでしたでしょうか!次回作もぜひ(^^)! (2019年12月13日 18時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか!? (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ!続き楽しみに待ってます! (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるまる | 作成日時:2019年10月13日 19時

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