マフラー ページ13
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「暑がり…なんかな。どちらかといえば」
「羨ましい。」
「どうぞ、使ってください」
深いとはいえ、赤いマフラーだし
抵抗あるかな…と思ったけれど
ペコッと頭を下げて遠慮がちに受け取る
渋谷さんは、きっと本気で凍えているのだろう。
そんな寒いかな…とも思うけど、
今日だけ、
暑がりなことを誇らしく思えた。
その後一緒に電車に乗って、
土手の最寄りであり、
渋谷さんちの最寄りでもある駅で降りた。
土手と家とでは方向が違うらしく
駅で別れて、ひとり、歩く。
野球少年たちはもうとっくに帰っていて、
静かに川の流れる音が聞こえる土手に腰掛ける。
コンビニで買ったホットココアを一口。
芝生に寝転ぶと、
私のマフラーをした渋谷さんが頭に浮かんだ。
ぐるっと首に巻き付けて、
肩を竦め口元までマフラーを持ってくる。
…なんてかわいらしいんだろう。
永遠に冬が続けばいいのに
とさえ思う。
きっと渋谷さんは嫌がるだろうけど。
そんなことを考えているうちに、
気温はどんどん低くなっていき、くしゃみを一つ。
ふと携帯を見ると、
あっという間に1時間が経っていた。
飲み残していたココアもすっかり冷えて、
さすがの私もぶるっと震えてしまう。
そんな時だった。
ふわっと肩に何かがかけられて、
振り返るとそこにいたのは
赤いマフラーを巻いた渋谷さんの姿。
私の肩にかけられたのは多分、私のマフラーで
でも渋谷さんの首にも同じような赤いマフラー。
「マフラー買いに行ってんけど、これしかなかってん」
と苦笑いを浮かべる渋谷さんに
お揃いやんって心の中で呟いた。
意図せずでも、少し嬉しい。
いや、
…結構嬉しい。
またニヤニヤしてしまう。
「ありがとうな。寒くなってきたんちゃう？」
「やっぱ朝晩は冷えますね」
「風邪引かんといてな」
渋谷さんがそういう間にも
また、くしゃみ。
「…お茶入れよか」
「へ？！」
渋谷さんの突飛な発言に
夜の町にふさわしくない大声が飛び出してしまう。
「マフラーのお礼。家この辺やから」
「家？！！」
「お茶だけやって。別に襲わへんし」
「おそ…っ」
よっぽど私の言動がおかしいのか
めちゃくちゃ笑ってる渋谷さん。
「うそうそ。ほんま、どう？」
「…お茶だけ、なら」
「お茶だけやって」
渋谷さんは楽しそうに笑いながら、
こっち、と歩き出した。
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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました！！いかがでしたでしょうか！次回作もぜひ(^^)！ (2019年12月13日 18時) (
レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか！？ (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ！続き楽しみに待ってます！ (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年10月13日 19時
