心臓 ページ12
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” 今は他に好きなやつがおんねん ”
渋谷さんと別れた後も、
その言葉が頭の中を行ったり来たりしている。
どうしてあんな質問をしたのか、
どうして私の心臓はこんなにも慌てているのか、
その問いに、
私は答えを出してもいいのか。
「わかんない…。」
冬に向けて輝きを増していく
夜空の星たちに向かって、そう呟いた。
＿＿
＿
11月も半ば、下旬になってくると
一気に寒い日が続くようになった。
それと同時に
渋谷さんは土手に姿を見せなくなった。
職場では毎日会っているけど
そんな話したりするような感じでもなくて
ただ、日々の業務を、ひたすら、淡々と…
だから少し、渋谷さん不足というか。
なんていうか。
…何言うてんやろ。
あの日から、
心臓の痛みは消えなくて
正確に言うと、
渋谷さんが視界に入ってくると
渋谷さんの声が耳に入ってくると
渋谷さんを何かしらで感じると
痛む。
…そんなの、
気づかないわけにはいかないやん。
気づかないふりももう限界やん。
そんなある日のこと、
「おつかれさん」
会社を出て歩いていると、
後ろから渋谷さんが声をかけてくれた。
「あ、おつかれさまです！」
心做しか、声が上ずってしまう。
ほら、また。
鼓動が速い。
「渋谷さん、最近土手来ないですね」
「瀬戸さんまだ行ってるん？」
「なんか気に入っちゃって」
ふーん、と相槌を打つ渋谷さん。
久しぶりのそんな相槌に
少し安心した。
「寒くないん？」
「寒いですけど…好きなんですよね。冬の空気。」
冷たいようで、
どこかワクワクして、
おいしい。
「渋谷さん寒いの苦手ですか？」
「うん、めっちゃ。すぐ風邪引くねん」
「あー、わかる気がします」
「ニヤニヤすな」
「へ、」
そんなニヤニヤしてたかな…
慌てて頬に両手を当てて
渋谷さんの様子を伺うと
渋谷さんはポケットに手を突っ込んで凍えていた。
「これ使います？」
暑くてカバンの中にしまっていた
マフラーを取り出すと
渋谷さんは横目でマフラーを見た。
「使わへんの？」
「今朝の天気予報で寒いって言ってたから持ってきたんですけど、全然いらなくて」
「え、寒いやん」
「そこまでじゃないですよ」
「…瀬戸さん暑がりなん？」
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はるまる(プロフ) - のるさん» コメントありがとうございました！！いかがでしたでしょうか！次回作もぜひ(^^)！ (2019年12月13日 18時) (
レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - いいですねぇぇっぇぇえ (2019年12月10日 10時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - な…何があったんですか！？ (2019年11月19日 17時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
のる(プロフ) - この平和な感じ……いいですねぇ！続き楽しみに待ってます！ (2019年11月18日 8時) (レス) id: f5d566c6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年10月13日 19時
