自覚 ページ10
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そして今日も、
定時の合図に、そっこー営業部へ向かう。
「お疲れ様です！綾瀬さん、…は、おらんか」
「わ、大倉さん、でしたっけ！」
「あ、」
声をかけてきたのは、横山くんの彼女さん。
話すのは初めてかもしれへん。
「今日もAさん誘いに来たんですか？」
ニコニコキラキラした顔で俺を見上げる。
わ〜、俺そんなふうに見られてるんや。
大正解やけど。
「そう。一緒に帰れるかなぁと思って」
「待ちます？」
「んー、そうしよっかな」
「じゃあこちらどうぞ！」
って差し出すのは横山くんの椅子。
「ここ座っててええの？」
「はい！裕くん今から戻るって言ってたのでしばらくは！…あ、裕くんとか言っちゃった。横山さんです…！」
ひとりで頬を赤らめてる彼女さんに
思わず笑ってしまう。
変な子やな。
横山くんこういうのが好きなんや。
「ふふ、横山くんのことめっちゃ好きなんやなぁ」
「はい！それはもう！けど大倉さんも私に負けないくらいAさんのこと大好きですよね！」
「…せやなぁ」
なんかそう言われて、
あれっ、俺って綾瀬さんのこと好きなんやっけ…？
と思ってしまった。
綾瀬さんは、好きっていうか
顔がめちゃくちゃタイプで
今までみたいに落とそうとして、
でも全然振り向かへんし、
そんなん今までなかったし、
…あれ？
「…俺、綾瀬さんのこと好きなんかな？」
「え？！逆に好きじゃないんですか？！」
なんかびっくりされた。
俺、綾瀬さんのこと好きなん？
ここ最近、っていうか、高校くらいから？
好きとか嫌いとかそういうんじゃなく、
ただ、
タイプやから。告白されたから。
で、関係を進めちゃうような、
そんなんばっかやったから。
いつぶり？
うわ、
「大倉さん顔真っ赤…」
「…見んといて」
確かに、
今までの子らは、
ヤれればいいや、とか
ちょっと誘って
ガード堅そうやったら次、とか
そういうんばっかやった。
でも綾瀬さんは違うもんな。
もっと知りたいし、
一緒においしいもん食べたいし、
合コンとかどうでもよくなるくらいに
綾瀬さんで頭がいっぱいやもん。
俺ほんまに、綾瀬さんのこと好きなんや。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
