不意打ち ページ9
.
仕事の話とか、
この土日の話とか、
綾瀬さんとたわいもない会話を交わしながら食べる
お弁当ってなんておいしいんやろうか…。
昨日の残り物のはずなのに、
昨日とはまるで違う食べ物みたい。
そんな時、綾瀬さんからの視線を感じた。
え、なになに？
ドキッとするやん。
「…なんかついてます？」
「いや？」
「じゃあ俺に惚れました？！」
「ふふ、全く」
はぁ〜、手強いわ！！！
「じゃあ、」
「大倉くんの食べ方って気持ちいいな〜と思って見てたの」
「そうですか？」
気持ちいい食べ方、なんかな。
自分ではようわからん。
「いっぱい食べるし。男の子って感じ」
「男の子っていうか、成人男性ですけどね」
「食べ盛りの男の子みたいな。でも食べ方はすごく綺麗でしょ？」
わ、不意打ち。
珍しく俺のこと褒めてくれたと思ったら
ふわっと笑いかけてくれる。
そんなんずるいやん。
「顔赤いで？」
「綾瀬さんがずるいんですよ」
「そ？」
余裕そうに笑う綾瀬さん。
待って、俺やばいかも。
全然余裕ない…っ
「あ、」
「ん？」
「横山くんと、…昔、付き合ってたって」
「うん。ヒナちゃんから聞いたんやろ」
「です」
わー…ほんまなんや。
別に疑ってたわけではないけど、
本人から聞くとまた感じ方が違うな。
「どっちから？」
「私から。」
おおう…。
「横山くんみたいなのがタイプなんですか？」
「タイプとかはよくわからん」
「じゃあ横山くんのどんなとこが好きやったんですか？」
「ないしょ。」
人差し指を立てて、口元に持っていく。
しーって、
「もう昔の話やし。恥ずかしいから言わへん」
「…昔の話やし、もう恥ずかしくないんじゃ？」
「言わないーって」
結局最後まではぐらかされて。
「さ、もう仕事の時間やで」
「え〜〜もうですか？」
「さ、帰った帰った！私ももう出るし」
「綾瀬さんいないなら帰ろ〜」
営業部を出て歩いていると、
ランチ帰りの横山くんと彼女さんとすれ違った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
