落としたる ページ6
.
” 私のこと狙ってるやんな？ ”
「え、」
まっすぐな瞳に引き込まれそうになる。
綾瀬さんの瞳って茶色いねんな。綺麗。
「狙ってます。」
「正直でよろしい」
ふふ、と笑った綾瀬さん。
「じゃあ私も正直に言います。私、年下には興味ない。」
ハッキリそう言われた。
「…今日の昼とか、」
「ごめんね。あの子と食べる約束してるから」
ポンッと俺の肩を叩いて
横山くんの彼女さんと一緒に出ていった。
「…めっちゃハッキリ言われとったな」
村上くんと横山くんが
同情の目で俺を見る。
「…逆に燃えるな」
「は？」
「これで落とせたら俺すごくない？」
「…お前のそういうとこ見習いたいわ」
あっという間に同情の目はどっか行って
飯いこうやぁって財布を取り出している。
「大倉も行くか？」
「行く！」
その日は結局横山くんと村上くんと飯食って
その話を亮ちゃんにしたら
なんでやねんって笑われた。
それから、あの手この手で
綾瀬さんを誘い出す毎日。
…が、
「全然あかんやん」
「な〜〜〜？！なんで…？」
結局亮ちゃんに泣きついているのは
あれから2週間も経った金曜日だった。
ぜんっぜんあかん。
こんなん初めてやわ。
「大倉も鈍ってきたか(笑)」
「え〜〜？！そんなことないって〜いつもとおんなじようにしてるし」
「もう次行けば？保育士の子、大倉に夢中やん」
保育士の子っていうのは、
看護師の翌週に行った合コンの子で
一目惚れされたらしく
毎日連絡が絶えない。
「ん…でもなぁ」
「珍しく諦め悪いやんけ(笑)」
「だってあんな好物件他ないで？」
「俺も見に行ってみようかなぁ」
「え、あかんで？亮ちゃんがライバルとか無理やって」
「別に狙おうとかちゃうやん」
「狙うやん！！」
「…まあなぁ」
とにかく、作戦変更せなな。
とりあえず月曜日は、あれや。
というわけで月曜日。
「こんにちは〜！」
「大倉くん。また来たんや？悪いけどお弁当やから」
「知ってます」
「え、」
俺は綾瀬さんの隣の席(横山くんの彼女の席)
に座って、コンビニの袋を取り出す。
「月曜日は土日自炊した余り物でお弁当を作るんでしょ？だから横山くんと彼女さんはふたりごはんの日。」
「…よくわかってんじゃん」
ふふ、俺の勝ちや。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
