一目惚れ ページ4
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あれから少しして。
俺はまた営業部へ向かっていた。
2日前の土曜日。
例の看護師のうちの1人が
渡したいもんあるって言うから会いに行った。
なんやろって思うやんか。
「…なにこれ」
「ネクタイピン」
「や、それはわかるけど。誰の？」
「横山くんの。連絡取りやすいかなと思ってこっそり持って帰ったんやけど、全然連絡つかへんからもういいやと思って」
…いつ取ったん？
ていうか横山くん気付いてや…。
というわけで、営業部に顔を出すと、
え、
ダレアレ。
「おはようございます」
「おはようございまーす！」
「ちょちょちょ、横山くん…！！！」
ちょうど出勤してきた横山くんにしがみつくと
横山くんはびくっと体を震わせた。
「誰あれ」
俺の視線の先にいるのは、
めっっっっっちゃくちゃ美人。
どうしよ、どタイプやねんけど…。
横山くんは俺の視線を辿って、あぁ、と呟く。
「綾瀬？」
「綾瀬さん。…めっちゃ綺麗。電話番号聞こうかな」
「はっ？！ちょ、待て！！」
横山くんはちょっと無視して、
綾瀬さんの元へまっすぐに向かう。
「綾瀬さん…？」
そう声をかけると、
綾瀬さんは俺を見上げた。
やば、超かわいい。
「えっと…」
「大倉っていいます。企画開発部です。横山くんと結構仲良くて」
「あ、そうなんや」
「今度ご飯でもどうですか？」
「…え？」
周りになんと言われようと
俺はド直球に誘うタイプやねん。
ポカンとしてる綾瀬さんを見つめながら、
俺はスマホを取り出した。
「連絡先交換しません？」
「…私口説かれてる？」
「正解です」
「あは、変な人」
クスッと笑う綾瀬さん。
めっちゃ綺麗。ほんまに。
「ね、スマホ。」
「んー…」
綾瀬さんは少し渋った顔をしたけど、
スマホを手に取った。
もらったわ。
もう、俺のもん。
「連絡しますね」
「はーい」
ここはサッと帰った方が印象に残るやろうな。
なんて思いながら、営業部を出た。
そして、すぐにトーク画面を開く。
” 大倉です。仲良くなれたら嬉しいです(^^) ”
早めに送るべし。…なんつって。
” 綾瀬です。よろしくね ”
綾瀬さんから何の変哲もない文章が返ってきたのは
定時を過ぎた頃だった。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
