ブチ切れんで？ ページ22
.
綾瀬さんの声…？
声を辿ると、そこには
綾瀬さんと、知らんおっさん。
「このまま俺と抜けようや、な？」
べったべた綾瀬さんに触ってる。
気持ち悪いな。
「いや、トイレ行くんですよね？」
「トイレなんて口実やん。それくらいわかってるくせに」
「…なら戻ります」
綾瀬さんが歩き出すと、
「待てって」
と、綾瀬さんの腕を強く引くから
綾瀬さんはふらっとよろけるし
「ちょ、」
「んん〜〜ええにおい」
そのまま抱きつきやがるから
「おい、何してんねん」
ブチ切れんで？
「大倉くん…っ」
「なにって、トイレ案内してもらってんねやんか」
俺が現れて、
おっさんがイラついてんのがわかる。
けどなぁ
俺の方が100万倍イラついとんのじゃ
「そうは見えへんけど」
「見えなくてもそうなの！も〜〜、お前営業の大倉やっけ？邪魔せんといて」
ってまた綾瀬さんに触れようとするから
「邪魔なんはお前や、おっさん」
「はぁ？」
その前に、綾瀬さんの腕を引く。
「俺の女やもん。…Aは」
「……は？ほんまに言うてんの？」
おっさんは綾瀬さんをギロっと睨む。
綾瀬さんはちらっと俺を見て、
おっさんに向かって小さく頷いた。
「はぁ〜〜〜あぁそうか！お前も結局は顔か！！見込み違いやってんなぁ残念やわ！！！」
「は？」
なんやねん、その言い方
「おま、「大倉くんはいい人ですよ。」
俺の言葉を遮るように話し出したのは綾瀬さんで
「え、」
「優しいし気配りもできるし、私をめちゃくちゃ好きでいてくれるんやから」
綾瀬さんの言葉に、
言葉を失うおっさんと、俺。
そのままおっさんは去っていき、
そこには俺と綾瀬さんだけが残された。
ふぅ、と息を吐いた綾瀬さんは
俺を見て頭を下げる。
「ありがとう」
「大丈夫、ですか…？」
「うん。大倉くんが来てくれて助かった」
ふと視線を落とすと、
綾瀬さんの手が視界に入った。
小さく震えるその手を両手で包むと
綾瀬さんの細い肩はびくっと揺れ、
それは涙に変わって、俺の手に落ちてきた。
「…今までも、こういうこと、なくはなかったんやけど、…まさか社内の人にもされるなんて思わなかったから…っ」
「大丈夫。いつでも俺が助けますから」
「…かっこいいねぇ、大倉くんは」
綾瀬さんは困ったように笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
