左側 ページ16
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ってなわけで、土曜日。
映画館の前で待ち合わせ。
” 映画見ません？今面白いのいっぱいやってるみたいやから ”
って誘いに行ったのが、火曜日の終業後。
じゃあ、と綾瀬さんが提案した映画は
ドラマから映画化が決まった話題作だった。
” あ、これおもしろかったですよね ”
” ドラマ見てた？ ”
” 見てました！今期一やわ〜って思いながら ”
” ね！おもしろかったよね！ ”
ってなわけ。
ここの映画館、
周りに居酒屋もレストランもいっぱいあるし
綾瀬さんの好み聞いて選べるし。
っていうのは、マルに聞いた。
あいつやたらおいしい店知ってるからさ。
「大倉くん！」
俺を呼ぶ綺麗な声。
綾瀬さんがやってきた。
「ごめんね、待ったよね」
「全然！まだ映画まであるんで、そのへんブラブラします？」
「あ、チケット、」
「買ってます」
「さすが」
今日も綾瀬さんめっちゃ綺麗。
ヒール履いてるけど、
俺よりだいぶ小さいのもかわいい。
そんで、いいにおいもする。
…キモいか。
「あ、綾瀬さん。ちなみに映画のあとって空いてます？」
「うん。空いてるよ」
「ご飯食べません？」
「いいよ」
ニコって頷く綾瀬さんに心臓撃ち抜かれた…っ
「大倉くん？」
「いや、…なんか食べたいものとかあります？」
「んー。おいしいお酒があるとこがいいな」
「お酒好きなんや」
「うん。好き」
バーより居酒屋がいいよな。多分。
とか考えながら
ショッピングモールをブラブラして
映画館に向かった。
席は端っこ。
綾瀬さん端っこ派やねんて。
これは月曜日のお弁当の時間に得た情報。
「ここやね」
って席に座ったら
まぁ、近い。
俺の左側にいる綾瀬さん。
うーわ…左側が熱い。
集中できんのかな、映画…
なんて焦っていたら
さっそく予告がはじまって、
本編が始まる頃には
もうスクリーンの中に夢中になっていた。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
