クズ ページ1
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「大倉ぁ〜、今日やけど」
昼休憩でみんなが動き出すと
スマホ片手に亮ちゃんが俺の席へ来た。
「看護師？」
「おん。俺の友達、ひとり来られんようになったって」
「あ、まじで？」
「だれ誘う？」
「んー…まず、マルはあかんやろ」
「せやな。また下手にモテられても困るし」
俺と亮ちゃんが相談しているのは、
今夜の合コンのこと。
主催者は亮ちゃん。
相手は看護師。
マルはあかんっていうのは、
前にマルを合コンに誘った時、
あいつ無駄に愛想いいから無駄にモテて惨敗やったから。
だから俺と亮ちゃんの間では
マルは呼ばへんって決めた。
まぁマルも乗り気じゃなかったし。
「合コン慣れしてへん奴がええよなぁ」
「あ、あれは？営業の横山くん」
「あ、いいかも。あの人人見知りやもんな」
亮ちゃんとは同期で、
飲み仲間兼、合コン仲間。
毎週のように合コン三昧。
「亮ちゃん先行ってるやろ？俺横山くん連れてくわ」
「おん、よろしく」
クズやと思われるかもしれへんけど、
特定の彼女がほしいわけじゃなくて
ただ、遊び相手がほしいだけ。
楽しく酒飲んで、たくさん笑って、
たまに、そういうこともして。
そういう楽しい時間を過ごせる相手がほしいだけ。
…普通にクズやな(笑)
「また合コン？飽きひんねぇ」
同期の愛梨も呆れ顔。
「合コンは飽きひんやろ」
「うわ、亮ちゃんクズやな！」
「クズで結構やわ(笑)ていうか大倉もおんなじようなもんやからな」
「まぁ、そうやな(笑)」
ひっどい会話よなぁ。
けど、楽しけりゃええよな。
「愛梨はいい人おらんの？」
「いても絶対2人には言わへんわ」
「え、おるん？」
おー、予想外。
「言わないってば」
「言えよ！！」
「あ、会議の時間やわ」
愛梨は俺らを置いて、会議室へ向かった。
「うーわ。絶対おるやん」
「社内の奴なんかなぁ」
「え、大倉やったらどうする？(笑)」
「は、絶対ありえへんわ(笑)」
「逆に俺らやったら愛梨も大概趣味悪いよなぁ」
「ほんまやで、あんだけクズな面見といてな(笑)」
ほんま、楽しけりゃええなって思う。
29にもなってそれでええんか？って、
それこそ親にも言われるようになったけど
ええかな〜って。
まず、一途に想うなんて、俺にはできひん。
向いてないわ。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年6月5日 20時
