村上くんと恋をするなら (ページ9)

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恋愛指南ページ9

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「前の彼氏もかっこよかったやろ？」

「うん、まぁ…」

「高校の時の彼氏もかっこよかったし」

「せやねぇ…」

つまりは、面食いなのだ。

口にしたことはなかったけど
自分でもそれを認めていた。

「彼氏できひんわけやわ。そうそうないもん。そんな優良物件」

「物件ってそんな家みたいに…」

「そんなことも言うてられへんねんで？私らももう30やねんから」

「わかってる…」

じゃあまず～、

と、まだ私のスマホを手にしていたさくらは
また画面を勝手にスクロールし、

「この人でいーや」

とトーク画面を開いた。

「なにすんの？」

「お食事誘うの」

「ちょ、…！」

慌ててスマホを取り返そうとするけど
手の届かない所へ追いやられてしまう。

「だってメッセージのやりとりだけして、はい、付き合いましょう。とはならないでしょ？」

「そりゃそうやけど…」

「会ってみないことには何も始まらない。せやろ？」

ド正論すぎて、何も言えない。

そんな私の様子を見たさくらは
画面に指を滑らせた。

「…と、こんなもんかな？」

そう言って手渡されたスマホには
今さくらが打ったであろう文字が並んでいる。

” こんばんは。お仕事お疲れ様です！
今度一度お会いしませんか？
ご飯食べがてら、いろいろなお話がしたいです！ ”

「…これ送んの？」

「いいやろ？」

「なんか…私のキャラとかけ離れすぎてて…」

「いい？A」

ぐいっと身を乗り出すさくら。

一歩引いてしまいそうになるのを
ぐっと堪えて話を聞く。

「まず、言葉遣い。どうにかすること。」

「え、」

「ガラ悪いねん。Aの話し方」

「そんなん言われても…」

「それから2つ目。大雑把な性格は隠すこと。」

「…はい。」

もう頷くしかできひんやん？

「3つ目。気遣い上手になること。まぁこれはそこそこできてるけど」

「お、」

「でももっとやで？これは瑞稀見習った方がええわ。あの子あんなんやけど、礼儀作法ちゃんとしてたし、気遣い上手やから」

「はーい」

ビールを一気に飲み干すと
さくらはじとーっと私を睨む。

「聞いてんの？飽きてんでしょ？」

「聞いてる聞いてる」

「ほんまかなぁ」

聞いてますよ。

大変やなぁって。

彼氏作るってこんな大変やったっけって思ってます。

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