村上くんと恋をするなら (ページ28)

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自覚ページ28

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押しのけられた村上は

「…ふ、」

と、鼻で笑って、歩き出した。

笑ってるけど、すごく傷ついたような、そんな顔。

思わず村上の手を握るけど、

村上は、そんな私の手を
少し驚いた顔で見つめて

優しく、離した。

「…ごめん、ありがとう」

「んー。この道危ないから気いつけや」

「うん。」

あー、あかんわ。

心臓もたへん。

もうこれ、あれやん。好きやんか。

突然のことにびっくりして？

近い距離に緊張して？

思わず押しのけちゃって？

照れ隠しとか？

そんで傷つけて？

…なにしてんやろ、私は。

「なぁ村上」

「駅ついたで」

私の言葉を遮るようにそう言った村上は
気をつけるんやで、と行ってしまった。

＿＿

＿

次に村上と会ったのは、
あれから1週間後。

電話でご飯行かへん？と誘うと
「Aから誘うなんて珍しいな」と笑った。

顔は見えないからわからないけど
声はいつも通りだった。

「なぁ、村上。」

「ん？」

私がそう切り出したのは、

村上がからあげを
口いっぱいに頬張った時だった。

「私のこと、もらってくれへん？」

” まぁ婚活してどうしても見つからんかったら、俺がもらったるわ ”

いつだか、村上が言った言葉。

村上は目も口もまん丸にして、
からあげを飲み込んでから小さく笑った。

「婚活うまいこといかへんか？」

「それは、まぁ」

「俺で妥協か(笑)」

垂れた目をさらに垂らして笑うから
私は首を横に振る。強く、振った。

「違う。妥協じゃない。」

「ん？」

あー、告白って結構緊張するんやな。

初めてや。初めて知った。

「好きになってもうた。…村上のこと」

意気地無しやから村上の顔は見れなくて、

でも返事がないことに不安になって
少しだけ顔を上げると

村上の表情は全く変わっていて、
まっすぐに私を見ていた。

「悔しいけど…。」

「悔しいってなんやねん」

「だって…ずっと友だちでいたかったから。こんなに何でも言い合えるの村上だけやし、一緒にいて楽しいし、だから今日で全部終わりやーって思うと、…悔しい。」

あー、泣きそうやわ。

だっさ。

「でも好きになってもうたんは仕方ないしな。今までありがとう。もう気軽に飲んだりできひんから、もう会われへん。…うん。ごめん。ありがとう」

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