村上くんと恋をするなら (ページ22)

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めちゃくちゃにしたいページ22

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「えっと…」

呆然と立ち尽くす私の腕を
勝俣くんは何故か掴んでいる。

まるで逃げるなとでも言うように。

「俺若いから結構体力あんねん」

「…は？」

「歴代の彼女らからも上手いって評判やねんで？そこらの奴らよりデカいらしいし」

「……は？」

何言うてんやろ、この人。

ついていけなさすぎて、
勝俣くんの言葉が頭を素通りしていく。

「どこがええかな～別にどこでもええんやけど。」

腕を掴まれたまま、
一番手前のホテルに入って

そこで我に返った。

ちょ、ちょ、ちょ、…！！！

「…あのー、」

「なに？」

「帰ります。」

「え～、ここまで来て何言うてんの～」

勝俣くんは笑ってるけど、
別に笑い事とちゃうし。

「別にそんなんとちゃうし。そこらの女と一緒にせんといて」

「そんなしらけるようなこと言うなって」

相手するだけ無駄や。

腕を振り払ってホテルを出る。

「なぁって、」

「離してよ」

追いかけてきた勝俣くんは
さっきより強い力で手首を掴むから

振り払おうにも振り払えない。

「ええやんか。俺が相手したる言うてんから」

「相手にしてもらわなくて結構！」

「めっっっちゃくちゃにしたいねん、」

「は？」

「その、綺麗な顔をさ。」

ニヤッと片方の口角を上げる。

鳥肌がたった。

「ちょ、ほんま離して」

「俺の試せばわかるから。気持ちいいねんて」

「気持ち悪い…っやめて…！！」

強い力に引きずり込まれそうな私を

反対側に引いたのは、

「俺の女に何してんねや」

「は？」

「村上…っ」

力の緩んだ隙に逃げ出して
村上の後ろに隠れる。

「は、(笑)嘘やろ？彼氏おらん言うてたし。」

「彼氏ちゃうしなぁ。旦那や、旦那。」

「は？」

「結婚しとるって言わへんかった？こいつ」

「…なんやねん意味わからんわ！！なら若い男にホイホイついてくんなや！！！三十路女なんて誰も相手にせえへんわアホ」

そう言い捨てて、勝俣くんは去っていった。

ふ、と足の力が抜けそうになって
村上にしがみつくと

村上はその手を取り、歩き出した。
ホテル街に背を向けて。

「村上なんで…」

「通りかかった。ったく、30にもなってあんなんに捕まりやがって」

「…ごめんなさい。ありがとう」

「…ん。なんもされてへんか？」

私が頷くと、ホッとしたように村上は微笑んだ。

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