村上くんと恋をするなら (ページ21)

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結局、顔ページ21

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それから、なんてことない毎日を過ごし、
さくらの結婚式から2週間が経った頃だった。

「なぁ、」

「え、」

すれ違った男の人に何故か腕を掴まれる。

なに？痴漢？

「やっぱり。こないだ結婚式おったよな？」

「え、」

顔を見るけど…え、知らん人やけど。

でもその人は、
ほら、と言ってさくらの旦那の名前を出した。

「俺の先輩なんすよ。職場の」

「へぇ。」

「いや～、こんなとこで会えるの運命とちゃう？！」

勝手に盛り上がってるけど…

知らん人やし。

「よく私のこと覚えてましたね」

「覚えてるよ～～！美人さんやなぁって気になってた！あ、俺、勝俣信吾っていうねん。お姉さんは？」

「…渡辺Aです」

「Aちゃんね！ちょっとそこらでお茶せえへん？」

「は？！」

「奢るし！」

「いや…」

また何故か腕を掴まれて
近くにあったおしゃれなカフェへ連れ込まれた。

「え～！Aちゃん年上なんや！見えへんなぁ」

「…そう？」

うん。私も見えへんと思ったよ。

老けすぎやろ…()

「ほんま綺麗な顔してるよね。ずっと見てたくなるし、」

「いやそんな…」

「…ちゃく……たなる」

「へ？」

「んー。なんでもない！」

勝俣くんは、村上と同じ名前だけど
村上とは全く違う人懐っこさで

老けてるとは言ったけど
そんな悪くない顔していて

きっとモテるんやろうなぁと思う。

さくらの結婚式後から
婚活も全く進んでいない私は

全然関係ない勝俣くんを少し羨んだ。

モテ期とか、なかったもんなぁ…。

「彼氏おるん？」

「いない」

「え～！もったいない！俺なら立候補するのに」

「アラサーの女よりもっと若い子いっぱいいるやろ？」

「いるっちゃいるけどさ～、みんなつまらへんし。やれ美容だのオシャレだの。結局は顔やん？」

「おー、結構言うね」

「顔が好きかどうかやと思うねん、結局さ。綺麗な顔した人が美容やなんや言うてるのはわかるねん。けど大したことない奴が言うてんの腹立ってくんねんなぁ」

「…それあんま言わん方がええで」

勝俣くんは知ってる～と笑って
伝票を持って立ち上がった。

「もう行くの？」

「場所変えようや」

店を出て、
勝俣くんについていきながら

ふと思う。

…ここ、

「どこがええ？」

ホテル街やで…？

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