村上くんと恋をするなら (ページ18)

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びしょ濡れの右肩ページ18

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「ヒールなんて履いとんのや」

「一応結婚式やからな」

「いつもでかいのにヒールなんて履いたら俺とあんま変わらんやん」

パッと前を向くと

いつもより近い距離に
村上の顔があってびっくりした。

手首はいつの間にか離されていて
代わりに捕まっててええでって言う。

どこ掴めばええねんって思いながら
申し訳程度に洋服の裾を掴んだ。

「…あれ、村上の駅過ぎてんで」

ふと気づけば
ちょうど村上の最寄りを過ぎたあたり。

「傘持ってないんやろ？」

「なんでわかるん」

「手に持ってへんからや」

「あ、せやな」

「傘買うか迷ってんねやろ？入れてったるわ」

ようわかってらっしゃるわ。

ありがとう…と呟くと
珍しく素直やなと笑う。

私の最寄りについて広げた傘は
瑞稀のよりだいぶ大きかったけど

傘は傘やから、
また村上との距離は近かった。

「なんか飲んでく？」

「ええん？」

「結婚式めっちゃ感動してお酒とかほとんど飲まれへんかったから」

「酒かい」

「あ、お茶とかちゃうで？ビール。」

「まぁええけど」

とりあえず服だけ着替えて
リビングに戻ると

村上は勝手にテレビをつけて
ぼーっとしていた。

右肩がやたらとびしょびしょだ。

近くにあったパーカーを引き寄せて
村上に投げると、

村上は無駄にでかい反応をした。

「なに？」

「着替えや。風邪ひくで」

「…悪いな」

その場で着替え出すから
私はその間にビールとつまみを取りに行って

戻ると私のパーカーを着た村上が
自分の服を畳み終わったところだった。

「傘傾けすぎやろ」

「だってせっかくのドレス濡れたらあかんやん？それにドレス濡らしたら怒るやろ？」

「まぁせやな」

「ほら、俺の選択は正しかった」

また笑ってる村上は癪やけど
一日ドレスを着たあとのビールは

めちゃくちゃ美味い。

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