村上くんと恋をするなら (ページ11)

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勝負ページ11

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結局ちょっとええチェーン店に入った私たちは
会話をポツポツとしながら2時間ほどで店を出た。

「Aさん、何線やっけ？」

「京都線です」

「俺、神戸線や。ほなここで」

あー、わりと呆気ないな。

多分これ、次ないやつ。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。気をつけてな？」

「せしょーさんも」

ぺこ、と頭を下げて改札を抜ける。

後ろを振り返ってみると
せしょーさんはもう歩き出していた。

ふぅ、と息を吐く。

正直、疲れた。

だって知らん人やもん、
気も遣うし会話もそこまで盛り上がらんかった。

最寄りに着いてもまだ21時とか。

いや、健全すぎかよ。

せっかくの土曜日なのに
帰るのは勿体無い。

「さくら暇してないかな…」

LINEのトーク画面を開こうとした時

「え、」

肩に手が乗った。

「何しとんの？」

「村上か。びっくりさせんなや」

「ぼーっと突っ立って何しよんのやろと思って」

Tシャツにジーパンなんていう
ラフな格好の村上は

ほろ酔いなのか、少し頬が赤い。

「ひま？」

「飲むか？」

私が頷くと、
よし！と肩を組み始めるから

一応振り払って

「ええやんか！肩くらい！」

「重いねん！！！」

せしょーさんとは違って
居心地のよい村上の隣に安心した。

「どっか行ってたん？」

「えっと…」

「珍しくスカートなんて履いとるし」

「あー、…まぁね」

「男やろ」

そういう方面に疎い村上なのに
何故か今日は鋭い。

「婚活相手？」

「まーそうやね。婚活サイトで出会った人」

「へぇ。ようわからんけど、どうやったん？」

「んー、疲れた。」

「まぁせやろなぁ」

鼻で笑う村上に腹が立つ。

睨みつけると、さらに笑った。

「まだ始まったばっかりやしな」

「おー、せやなぁ」

「勝負しようや。どっちが先に結婚できるか」

「は？なんやねんそれ。別に俺今結婚どうでもええねんけど」

「決まり。絶対勝つ」

「勝手にせえ」

村上はまだ笑っていた。

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