最後にするから ページ3
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2時間ほど飲んで、店を出た。
大倉くんはずっと笑っていて、ずっと優しかった。
「駅まで送るね」
「ほんま？あんがと」
ふふ、と笑って
大倉くんは空を見上げた。
柔らかい風が葉を揺らす。
穏やかな夜だ。
この角を曲がれば、駅が見えてくる。
そこで、大倉くんは立ち止まった。
「大倉くん？」
「…ごめん。」
大倉くんはそう呟いたかと思うと
ぐいっと私の腕を引き、
あっという間に大倉くんの腕の中。
大きくて温かくて、少し震えていた。
「最後にするから…少しだけ、ちょっとでいいから、このままでいさせて」
声も少し震えていて
我慢していた涙が頬を伝った。
なんで私が泣くねん。
泣きたいのは大倉くんのほうなのに。
そう思ってもとめどなく流れる涙は
大倉くんの胸元を濡らした。
少しして、本当に少しだけ、時間が経ったあと
大倉くんは私を離し、顔を見て笑った。
「泣きすぎちゃう？」
大倉くんの茶色い瞳も少し潤んでいた。
「だって…」
「どっちがフラれたのかわからへんわ」
あはははっと笑った大倉くんは
ふと私の視線に合わせるように腰を屈めた。
「次はAちゃんの番やで」
「え…」
大倉くんは私をくるっと方向転換させ
背中に手を当てた。
「Aちゃんが思いを伝える番。…行っといで」
背中の手にぐっと力が入る。
優しく押し出され、
トンっと足を一歩踏み出した。
「大倉くん」
「俺はずっとAちゃんの味方やから。」
「大倉くん…っ」
「また飲もうな？」
「うん…っ」
あーもう、と振り向いてる私の顔包み前を向かせる。
「もう振り返ったらあかんで」
なんてドラマの台詞みたいなことを言った。
私は、一歩、二歩と、歩き出す。
それは次第に速くなり、
いつの間にか駆け足になって
急ぐ。
急いで、急いで、急いで、
マンションに駆け込むと
管理人さんはびっくりした顔で私を見て
エレベーターのボタンを連打すると
近くにいたのかすぐに扉は開いた。
5階も8階も通り過ぎて、
一番上まで上がり、階段を駆け上がる。
屋上のドアを開いて辺りを見渡すけど
「…いない、か」
乱れた呼吸を整えて戻ろうとした時、
「あ、Aちゃん」
「…丸山くん」
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manbo(プロフ) - 丸ちゃんがとっても素敵です！ (2019年8月13日 11時) (
レス) id: 95cc161dc5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして！十五祭の余韻が抜けずまるちゃんの話でドキドキしたいなぁと思って検索したところこの作品があって、読ませていただきました！すごくリアル感があって、想像してしまいました！渋谷さんがチューした時はビッックリしたけれども！すごく面白い作品でした！ (2019年7月20日 20時) (レス) id: f8bf0b205c (このIDを非表示/違反報告)
はるまる(プロフ) - ちっち。さん» はじめまして！コメントありがとうございます！本当ですか？！まるちゃん大好きになってもらえて嬉しいです！！村上くんのも楽しんでくださいな！ (2019年5月15日 20時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
ちっち。(プロフ) - はるまるさま。 はじめまして。この作品で普段マルちゃんをそんな風に意識したことなかったのですが、なんだかマルちゃんが大好きになってしまいました。ありがとうございます。今は、村上くんとの今後がとっても楽しみです。更新待ってます。 (2019年5月15日 19時) (レス) id: e0ad5c0d9d (このIDを非表示/違反報告)
はるまる(プロフ) - 高菜。さん» ありがとうございます！嬉しいです(^^)次回作もお楽しみに〜！ (2019年3月28日 18時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年3月5日 8時
