追いかけたくなるもの ページ33
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「切ないから、好き？」
「うん。」
舞い散る花びらに手を伸ばす。
安田くんのその手に、花びらが降りた。
「切ないからこそ、大切にしなきゃと思う。蕾から花が咲いて散っていく、その時をちゃんと見ていなきゃと思う。」
それはなんだか安田くんらしい言葉だった。
「手が届かないものとか、どこかに行ってしまうものとか、追いかけたくなるねん」
「来るもの拒まず去るもの追わずじゃないんや？」
「基本はそのスタンスやけど。手に入らないものほど追いかけたくなる。Aちゃんとかね」
私は頷きかけて、
……ん？？？
安田くんの方を見た。
その瞬間、
唇に暖かいものが触れて、
離れて。
それが安田くんの唇だと気づいたのは
わりとすぐのことだった。
慌てて安田くんと距離を置くと
安田くんは、ごめん、と頭を掻いた。
「最近Aちゃん楽しそうやから。」
「え…」
「彼氏かなって思ったけど違うみたいやし。好きな人、おるんやろ？」
暖かな風が桜の花びらを連れてくる。
安田くんの肩には花びらが乗って
頷いた私のパーカーにもまた、
花びらがくっついた。
「” 手に入らないものほど追いかけたくなる ” それ、Aちゃんのこと。好きになってもーたわ」
安田くんは笑ったけど、
私はなんて言ったらいいかわからなくて。
「えっと…」
必死に頭を回転させていると
安田くんはふいに私の手に触れた。
その手はすぐに離れて
安田くんは私を覗き込むように見る。
「別に返事がほしいわけじゃない。好きなやつおるなら答えはNOやろ？けど、俺がAちゃんのこと好きなのは覚えててほしいねん」
ちょっとずるいけど、と安田くんは笑う。
「もし、…もしやけど。そっちがあかんようになったら俺のこと思い出して？」
それだけ言い残し、
今日俺寄りたいとこあるから
と違う方へ歩いていった。
「…まじ…？」
私は足の力が抜けて崩れ落ちる。
去り際、
一緒に担任してる時やと気まずいかなと思って
このタイミングにしてんで？
と言っていたけど、
「十分気まずいんやけど…？！」
近くの公園でクールダウンしてからでないと
電車には乗れそうにない。
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まるり(プロフ) - ここまでの展開にドキドキさせられっぱなしです(><)！ 毎度毎度更新を楽しみにしています！いよいよ最終章の4の方も楽しみにしていますね！！ (2019年3月4日 23時) (
レス) id: c1b47e134b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして！いつも更新心待ちにしています！やっと主人公ちゃん自分の気持ちに気づいたんですね！ここんとこ切なくて切なくて^^;この先が楽しみです。これからも頑張ってください！ (2019年3月4日 20時) (レス) id: 03c67c0832 (このIDを非表示/違反報告)
はるまる(プロフ) - しずくさん» こんにちは。いつもありがとうございます！タイトルに＊があるお話は丸山くんsideになります。丸山くん目線のお話として、少し時を遡っているのでダブってしまってはいます。 (2019年2月23日 20時) (レス) id: 74b7d9762d (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いてます。丸山さんのお誕生日のくだり、前にも出てきてます。ダブって書いてしまったのでしょうか？確認お願いします。気づき次第こちらの投稿削除して頂いてかまいません。よろしくお願いします( ´∀｀) (2019年2月23日 10時) (レス) id: 298df3e651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月17日 21時
