ラフな格好 ページ48
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「連絡先も消して、ちゃんと区切りつけたつもりやってんけどね。やっぱり実際に会うと動揺しちゃうみたい」
困ったもんやねぇと俯いて小さく笑った。
「その帰りにAちゃんと大倉くん見つけてん。Aちゃんはちゃんと前に進んでるんやなぁって自分が恥ずかしくなった」
「恥ずかしいなんてそんな、」
「ちゃんと前に進み始めたAちゃんに俺のこんな、弱っちいとこ見せられへんと思って隠してたのに、Aちゃん気づいちゃうんやもん」
俯いたまま、視線だけ私に向ける。
少し伸びた前髪が目にかかって
いつもより少しだけ色っぽい。
「今日Aちゃんが映画誘ってくれて、ほんま救われてん。多分1人やったらうじうじしてもうたから。」
「…よかった」
「うん。」
＿＿
＿
17時に待ち合わせをしていて
あそこまでは10分くらいだから
でも待たせちゃいけないし
でもあんまり早く行きすぎても寒いし
ぐるぐるそんなことを考えて
結局20分前に部屋を出ることにした。
ゆっくり歩いていこうと思う。
今日は大倉くんと会う日だ。
” ちゅーはさせたらあかんで。いってらっしゃい(^^) ”
丸山くんから送られてきた文章に
心臓が無駄にドキンと鳴った。
「させへんって…！」
丸山くんに向けて小さく反抗する。
何度もそう言われると
変に意識しちゃうやんか。
もう…。
居酒屋にはまだ大倉くんは来ていなくて
少しホッとする。
彼氏でも亮でも丸山くんでもない男の人と
こうして2人で飲みに行くのは久しぶりで
なんなら少し気になっている人だから
緊張してきた。
27にもなって高校生みたいなことでドキドキして
我ながらしょうもないと思うけど
長年亮に片想いしてきたんだから
それもしょうがないことだ、
言い訳に過ぎないけれど。
「Aちゃん、おまたせ」
「大倉くん…！」
私を呼ぶ低い声のする方を見ると
こないだよりもラフな格好をした大倉くんが
私に向けて手を振っていた。
「服、ラフすぎたかな」
私の視線に気づいたのか、
大倉くんは自分の服を見て呟くから
私は慌てて首を横に振った。
「全然。いいと、思います」
「そ？よかった。俺普段こんな格好ばっかりやからさ」
「そうなんや」
「こないだはちょっと気合い入れてた」
大倉くんは照れくさそうに笑った。
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作者名：はるまる | 作成日時：2019年2月1日 8時
